シンガポールに来て国家の繁栄を洞察していると学ぶことがたくさんあります。初代首相リークアンユーがこの国の工業の発展についてインタビューされたとき「わが国は、このように小さくて資源が何もないんです。ですから外国からきていただいたり、 工業国家になる以外に生きていく道がなかったんです。 資源が何もないことが、ここまできた秘密なんです。」と言いました。
ないものねだりではなく、あるものを探す、そしてそこに知恵を働かせたということです。これは組織マネージメントにおいても同じことで、ないからできないのではなくないなかでも知恵を出すことをあるものを創出するという起業家精神があります。
自分の持ち味に特化するということは、このないものばかりを直そうやないものばかりを修正しようとする発想ではなく如何にある部分を捨てて全体の中で自分が活かせるものに特化するかということに似ています。つまりは、自分の欲望や都合を優先せずに全体の中で自分を如何に活用してもらえるか、そうやって生きてきたということです。
そして国家の形成は簡単に行ったのではなく、時間をかけてじっくりと行ってきました。そのことについてこういいます。「要は急がば回れだ。過去につちかってきた習慣や既得権を捨てたがる人はいない。ただ、一国として存続するには、ある種の特色、共通の国民性をもつ必要がある。圧力をかけると問題にぶつかる。だが、優しく、少しずつ働きかければ、同化はせずとも、やがて融合するのがものの道理だ。」
重心を低くし、理念に向かって実践していかなければ今のシンガポールはありません。多民族多言語多文化が融合するこの国家の発展と繁栄は、時間をかけてじっくりと包み込んできた政策が今にいたるように思います。
世界の中でのHUBを目指し、この国にどうやって来ていただくか、この国をどうやって活用していただくかと、考えて尽くしてきたからこそこの国にくる外国人は快適に過ごしこの国の利点を活かしほかの国々とのビジネスを成功させているように思います。
そしてこうも言います。「わが国は国粋主義になろうとする傾向に抵抗する必要がある。考え方も行動も国際的にならなければいけないのだ。外国に行かせたり、外国人と交流させたりして、世界レベルに追いつくように、わが国の人材を育てる必要がある。」
人材こそが最大の資源であるとし、国防費の次に教育費をあてるほど人材育成に力を注ぎます。国家が何を優先しているのかを観ればその国の理念が観えてきます。この先は中国が台頭し、アジアは中国を中心にビジネスを展開することになっていきます。その時、必要なのはそのネットワークを駆使して如何にこのアジアでの自分の役割を担い活かすかということになってきます。
少し先の未来を予見しても、急速な少子高齢化の人語減の日本の未来においてこれからどのように私たちは多民族間と調和しいけばいいかシンガポールから学ぶことが多くあります。
引き続き、子どもたちのためにも未来のために今できることを学び直して遺して譲っていきたいと思います。