今日は、日本博「神宿る島」国際文化芸術プロジェクトのフィールドワークを聴福庵で開催します。この国際文化芸術プロジェクトは、伝統とともに継承されてきた精神と思想を基層にし、さまざまな文化芸術プログラムを通して「日本の心」と「日本の美」を世界に発信していくというものです。
「自然の摂理の中で畏怖の念を抱き、謙虚に向き合いながら森里川海への感謝と祈りを捧げて暮らしを営んできた日本において、古代から育まれてきた “常若(とこわか)”という思想があります。常若とは、自然界ではすべての物質は絶えず循環し、生まれ変わりつづけることで維持されていることから、循環する時間の象徴であり、地球と人類が如何にお互いの生命を維持しつつ、共存すべきかを顕しています。」
この常若は、私の取り組んでいる甦生とほとんど同じ定義です。時代と共にくすんでくる様々なのものを磨き直して今の時代に相応しい価値を顕現させていく。つまり本質や普遍を磨き直して新たにする、温故知新ともいい、徳積ともいいます。
聴福庵という「場」が選定された理由もまた、この同じ目的のために取り組んでいることが共感されたものであり、具体的な姿かたちとして顕現した「暮らしフルネス」の一端を感じていただくことで循環というものの本質を知ることができると私は思います。
また今日の実施内容としては「先人の知恵と暮らしを取り戻すための再生。 時代と共に現代にリノベーションされた 築120年の古民家「聴福庵」。 日々姿を変えていく中で生まれゆく温もりと ゆとりに、古より受け継がれてきた智慧を感じる 古民家での暮らしの中に入り、目には見えない生命の循環と、先人たちの培ってきた生き方を学ぶ。」となっています。
具体的には、朝からいつも通りの暮らしの中で一緒に手入れや磨くことを体験し、鰹節や竈ご飯を炊き、お漬物をつけ食べてその循環の中の智慧と一体になるというものです。
私たちは本来、自然から離れずに暮らしていました。それが自然を喜ばすことであり、私達も喜ぶことであり、それが仕合せというものの正体だと知っていました。自然から離れたことで私たちは循環からも離れ、仕合せからも離れていきました。
一緒に地球で生きていくものどうし、お互いが喜び合うように水をかけあい、土を耕しあい、菌達と発酵し合い、仲睦まじく優しい気持ちで生活を味わい豊穣のいのちを楽しみました。
当たり前であった前提がもう思い出せなくなるほどに崩れてしまった現代ですが、その中でも本来の日本的な暮らし、日本人の生き方を大切にしていくのは「子どもたちの未来のため」であることは私の信条です。
「徳をみんなで磨き合っていくことで子どもが安心して暮らしていける世の中になること。」
それだけが願いであり祈りです。この日本博での私の生き方と暮らし方を伝承していきたいと思います。