昨日、ご縁があって豊前市にある倫理法人会の創始者の丸山敏雄氏の古民家と天和会館を見学する機会がありました。まだコロナで閉館でしたが、事情を理解してくれてご親切に対応していただきました。
丸山敏雄氏の遺した言葉は、戦後の日本において倫理運動と呼ばれる生活改善運動を実践された方です。具体的に17か条の「万人幸福の栞」というものを掲げ、生活の中に具体的な実践を積み重ねていく中で倫理の道理を説いていきました。
第一条 今日は最良の一日、今は無二の好機 第二条 苦難は幸福の門 第三条 運命は自らまねき、境遇は自ら造る 第四条 人は鏡、万象はわが師 第五条 夫婦は一対の反射鏡 第六条 子は親の心を実演する名優である 第七条 肉体は精神の象徴、病気は生活の赤信号 第八条 明朗は健康の父、愛和は幸福の母 第九条 約束を違えれば、己の幸を捨て他人の福を奪う 第十条 働きは最上の喜び 第十一条 物はこれを生かす人に集まる 第十二条 得るは捨つるにあり 第十三条 本を忘れず、末を乱さず 第十四条 希望は心の太陽である 第十五条 信ずれば成り、憂えれば崩れる 第十六条 己を尊び人に及ぼす 第十七条 人生は神の演劇、その主役は己自身である
現代の便利で人間都合の世の中では、実践を怠りただ日々を闇雲に忙しく過ごしていたらややもすると世の中の常識や風潮に流されて自己を見失い刷り込まてしまいそうなものです。それを実践によって撥ね返し、本来の自己を確立していくということ、教育者としてのロールモデルを示してくださっています。
自己の確立と仕合せは表裏一体です。自己という一人の存在、自分という二人が一体になっているもの。そのままあるがままのいのちに合致するとき、人間は本物の人間になります。それを狂わせるのは、環境であり場でもあります。知らず知らずに文化や場の影響を受けて人間は醸成されますからどのような処にいるかは知らず知らずに多大な影響を受けてしまうのです。そういう時、目を覚ますような人に出会ったり、気づきをいただき暮らしの指針が観えることで人間は自己を発見するように思います。
私は、このタイミングでご縁があったことに不思議な思いがしました。暮らしフルネスとは、生活の改善であり暮らしの改善です。本物の日本の暮らしが亡くなってしまっている今、暮らし改善運動が必要ではないかと思うのです。
私は宗教家でもなければ、運動家でもありません、ただ粛々と自分の足元で実践をするものです。しかし、今の世の中、子どもたちのことを思えば心配になるし、未来のことを思えば繋いでいかなければならないという使命にかられます。これから時間をかけて丸山敏雄さんの言っている意味の本質を少しずつ学び直してみたいと思います。
最後に、特に感銘を受けた丸山敏雄氏の「心訓十戒」です。
「人を大切にする人は、人から大切にされる。
人間関係は、相手の長所と付き合うものだ。
人は何をしてもらうかより、何が他人にできるかが大切である。
仕事では頭を使い、人間関係では心を使え。
挨拶はされるものではなく、するものである。
仕事は言われてするものではなく、探してするものである。
わかるだけが勉強ではない、できることが勉強だ。
美人よりも美心。
言葉で語るな、心で語れ。
善い人生は、善い準備から始まる。」
そうありたいと強く思い、子どもたちにその美しい生き方を譲り遺していきたいと思います。