何かを守るということで人は強くなります。しかしその守るためには強さが必要です。その強さとは何かということです。
相対的に戦って勝つか負けるかという強さもあります。しかしそういう戦国の世においても、もっとも最上の策は戦わずして勝つともいいます。つまりは、戦わないことこそ本当の強さであるとも言い換えることができます。
この場合の戦わないとは、戦わないために何がもっとも大切かということを考え抜く正対する力を持つということです。
人間はすぐに自分を中心に物事を考えてしまいます。そして自分の価値観で物事を裁く傾向があります。また欲望があり、保身があり、魔が差す弱さも持っています。そういう人間の姿をあるがままにありのままに見つめるには、心の鍛錬が必要になり心の胆力のようなものが求められます。
優しさは強さにもなり、優しさは弱さでもあります。その優しさが本当の意味での強さになるには心を高め、自他を深く見つめ、丸ごと一体善になるように自分を融通無碍に変転自在になるような精進を続けていくことです。
守るというのは、何を守ろうとしているのかを自分自身に問うことです。
その守るものが私利私欲でないものであれば、また忘己利他のものであれば守る強さは偉大になります。
守るとは、常に損得を超えた「徳」を実践するときにこそハタラキます。その徳は、親が子どものために命を懸けるように、また体が自然に自分のいのちを守るように、地球が生命を保持するように偉大なものです。
徳を実践する人こそ、真の強さを持ち合わせる人物であると思います。そして徳がある人は「運がいい」のです。運がいい人は、長い時間をかけて先祖代々に積んできた徳が備わっています。
その徳を引き出し磨く人こそ、人徳者であり強き者であるのは自明の理でしょう。引き続き、徳を磨き、徳に報いていけるように人生のかじ取りを間違わないように取り組んでいきたいと思います。