現代において日ごろからあまり風土や文化のことに注目をして何かに取り組むということは次第に減ってきてるように思います。この風土や文化というものは、どれも長い時間をかけて取り組むことであり短期的に目先のことばかりを見ていては風土や文化を実感することができません。
例えば、風土が醸成されるのにどれくらいの時間がかかるのか、それは短くても数十年、長くては数百年や数千年をかけて行われていくものです。この日本の風土や文化も同様に、数百年の歴史、もしくは数千年の歴史を経て今に至ります。これは伝統と同じで数年で伝統は呼ばず、少なくても数十年から数百年、代を重ねていく中で伝統は語られます。
これは自然環境と似ています。自然環境が出来上がるのにはその環境の一部として自分も共に生きていくなかで時間をかけてゆっくりと行われます。それは山川草木、動植物昆虫や菌類に至るまでそれぞれが共生し合う中で生きていくための環境が出来上がっていくのです。そこまでに数百年から数千年を経て、絶妙に調和しながら豊かな風土や文化が醸成されます。つまり生き物たちがどのような暮らしをしてきたかが後の文化と風土になるということです。
これは例えば企業文化や企業風土などもそうですが、一朝一夕にできるものではなく確実に風土や文化を営み、積み重ねていく中で醸成されていくものです。それは単に数か月でできるものではなく、最低でも数年、そして数十年を懸けて磨かれてカタチに顕れてきます。老舗も同様に、そこに働く人々の生き方や働き方が次第に文化になっていきます。
その文化もややもすれば、消費するばかりのグローバル化で破滅的な風土を招いたり、もしくは変化を避けているうちにマンネリ化するとそのうち不自然になり自然淘汰していきます。これも天地自然の理です。
自然淘汰しないためには、それぞれの生き物たちのように真摯に環境に働きかけて自分自身を変え続けていくしかありません。今までも人類はそのように生き残ってきましたし、いつまでも文化や風土を磨いて高めていくから本質や本物になります。
つまり文化や風土は、目には観えませんがすべての生き物たちがもっとも自然に適応していくための生存の知恵なのです。人類がその風土や文化に即して伝統や歴史から学ぶのは、それが生存の知恵と直結しているからです。
引き続き、人類の未来のために生存の知恵を伝承していきたいと思います。