萬燈行

最近ニュースで異常気象により悲しい出来事がよくTVで流れます。
そんな時、ふと自然界でも緩やかに着実に変化があっていることを何かの事件があるたびに実感します。

専門家やマスコミもただ自然の猛威だと評論するだけで、それを対処療法で回復させようとしても難しいというのが現状なんだと思います。

あまりにも長い時間をかけて、あまりにも広い範囲での物事には意識がついていかないのだろうと思う・・

しかしTVを見ているとよく感じるが聴衆に一方的に不安を募るだけで、一向に具体的な方法論や結論まで話し合わない。まあ番組上のスポンサーなどの都合だろうが情報の垂れ流し、議論の流しっぱなしでやっているといつか裸の王様になるのは簡単に想像できる。
時代の潮流といえばそうなのだろうが、何でも議論を最後まで突き詰めようともせず途中で途切れてもまったく気にならないというのは「魂の弱さ」のような感じがする。受け手にそれを製作側は委ねているようだが、最近では作り手もそこまで深く考えてはいないようだ。
それをバランスという方もいらっしゃるが、きっとそうではないだろう。バランスは振り子のように振られるからある一定のバランスをとることができるのだと思う。「考える力」というものを幼少時からいい加減にしてきたからそうなるのだろう。一般的な公立学校の授業でも50分間で学べないことは、あとは自分自身でより研究するしかない。しかし現在は単位が基準になっているのでそのような機会もなくなってしまっているのだろう。履修問題など、基本的には学問の本質においてまったく関係がないのにと思ってしまう。

ではどのようにしてこの長くゆっくりとした広い問題の中で全体を見通しながら変化していけるのだろうか?

東洋思想には、物事を根幹から治癒しようという深い自然観がある。

一人ひとりがそのように深く自然を信じて行動することが最も近道なのだろう。

私の尊敬する故安岡正篤先生に、「萬燈行」という一節があります。
このようなことを深く見つめる時に読み返すと意識が覚めます。

 「内外の状況を深思しましょう
  このままで往けば、日本は自滅するほかはありません
  我々はこれをどうすることも出来ないのでしょうか
  我々が何もしなければ、誰がどうしてくれましょうか
  我々が何とかするほか無いのです
  我々は日本を易(か)えることが出来ます
  暗黒を嘆くより、一燈を點(つ)けましょう
  我々はまず我々の周囲の暗(やみ)を照す一燈になりましょう
  手のとどく限り、至る所に燈明(とうみょう)を供えましょう
  一人一燈なれば、萬人萬燈です
  日本はたちまち明るくなりましょう
  これ我々の萬燈行であります
  互に真剣にこの世直し行を励もうではありませんか 」

この本は 「一日一言」(致知出版社:安岡正篤著)から出ています。
お勧めの座右の書の一つです。

何だか、このような方がきっと世界を導く本当のリーダーの姿なんだろうなと強く感じます。

私は自然からの警告があるたびに、私はこの「萬燈行」の気持ちを思い出します。

世直し行は、きっとこのように一人ひとりの力でやっていくのだと思います。
一人の力が無限に広がる至高の燈であるように、子どもたちにもこの萬燈行の燈を心に伝えていきたい。