人は正しくあるがままに成長していくためには絶対条件というものがある。
それは正直で素直であるということである。
人間は歳を経るに従って、様々なことを経験し次第に頑固になっていく。
歳を取ればとるほどに固定概念に縛られ、自分を独りよがりに形成する。
そうなると周囲の環境と馴染まなくなり自然淘汰されていくのが万物生命の本源的原理であると私は思う。
人生がうまくいかないのは、ほとんど全てに自分の決めているその「生き方」が関与し、その生き方が人生の選択を左右しているのである。
なぜか仕事でも身近な人間関係でもいつまでも失敗を繰り返す人というのは、その根底の生き方が素直でないからであるのは間違いない。
その素直でない生き方が、あるがままの心を歪ませ自分と自我を頑なにしていくのであろうとも思う。見栄もプライドもすべてその根底に自分の生き方や生き様が如実に顕われるのである。
松下幸之助の遺した遺訓に「素直な心のない場合の弊害10か条」(PHP)というのがある。これが素直という側面をよく捉えている。
第1条 衆知が集まらない
素直な心がない場合には、人のことばに耳を傾けようとしなくなり、その結果、衆知が集まらないようになる
第2条 固定停滞
素直な心がない場合には、現状にとらわれて創意工夫をおこたり、進歩向上のない固定停滞の姿が続いていくようになる
第3条 目先の利害にとらわれる
素直な心がない場合には、目先の利害にとらわれて物事を判断した行動をとりやすく、将来の発展を損なう場合が少なくない
第4条 感情にとらわれる
素直な心がない場合には、感情にとらわれ、われを忘れて、思わぬ失敗を招くことにもなりかねない
第5条 一面のみを見る
素直な心がない場合には、物事の一面のみを見て、それにとらわれがちになってしまう
第6条 無理が生じやすい
素直な心がない場合には、とかく物事にとらわれがちとなり、ついつい無理をしてしまうことになりやすくなる
第7条 治安の悪化
素直な心がない場合には、個々人がバラバラとなって共同生活の秩序も乱れがちとなり、治安が悪化しやすくなる
第8条 意思疎通が不十分
素直な心がなければ、率直にものを言うこともなく、素直に耳も傾けないために、互いの意思疎通が不十分となりがちである
第9条 独善に陥りやすい
素直な心がない場合には、自分の考えにとらわれ、視野もせまくなって、往々にして独善の姿に陥りかねない
第10条 生産性が低下する
素直な心がない場合には、いろいろな無駄や非能率が多くなって生産性というものが低下するようになる
以上の言葉は何事にも参考になることで、客観的に分析すれば素直ではないということが事実として自分や周囲にどのように顕われるかを示している。
いつもあるがままに素直に明るくオープンに学び成長する人といつも本当の自分を隠そうとして自分を取り繕っている人をみればすぐにその素直さの違いは分かる。言われたことをすぐにやらない、やろうとしない、言われても聞かない、聞こうとしないなどそういうところだけでもすぐに観えるのである。
人の言うこと素直に聴けないのだから、人の真意や真心は分かるはずはない。
人は、内省し新しくなるというのは日々に新たになることである。
過去の産物や経歴で飯が食えないというのは、過去のことを忘れるという謙虚さを持っていないからである。過去の何かしらの自分に固執し、相手を尊重する姿勢もなくなることは人としてとても恥ずかしいことであると気づくことである。
少し知識がついたからや経験したからといい気になるのは傲慢な心である。
特に日々の営みは、その素直の実践道場であるはずである。
自分で決めるというのは、その生き方をどうすrかということである。
私自身、常に自らの生き方を問い、常に自分が素直であるように学び続けていきたい。
謙虚を生きることはそれそのものが貢献に繋がっているのだから、子どもたちにその大人の実践を示していきたい。大切なことを見失わないように、いつも心を遣って日々を大切に暮らしていきたい。