自然の造形

自然の造形物というものを観察していると様々なことに気づくことがある。

自然に造形され自然に分解されていく姿を視れば、もっとも恒久的に永続するように様々な仕組みが施されている。

例えば、石一つでも長い時間と大きな圧力の中で土が石になっていく。そしてその石が山野を駆け巡り海へ渡りまた土に還っていく。その他の動植物も、様々な形を創るけれどもそれがまた形をなくして土に還っていく。

自然の技術でもっとも自然であるのは土に還るということです。

それに比べて人工的なものは、自然には土に還らず何かの手を加えればまた手を加えて補わなければならず、大変な労力を繰り返しかけていくことになるのです。

今の時代は、一時的に目先の効果があればそれがさも最先端かのように語られ信仰されていますが実際は目新しい派手なものが良いものだという価値観を教え込まれただけで実際はその目先のものが数年から数十年経てば如何に効果が低い物だったのかを知るのです。

人工的に手を加えたものにいいものはありません。

昔から宗匠と言われるような一流どころは、如何に自然に近づけるかという技術を持っただけで自然を超えたことは一度もないからです。自然を超えることができないからこそ、自然を謙虚に見つめて自然から素直に学ぼうとすることが尊いのだという形を表現したのです。

自分たち人間が最高であるというところで生み出す科学や技術に本物は存在しません。
常に、私たちは自然の一部であることが絶対であるからなのです。

自然に近づくというのは、空や無のような存在を体得することです。
色々な学んだことをカラっぽにして問いただしていきたいと思います。