景色というものを観察するのには、心にどのような景色が映っているかを観なければなりません。
眼で見るというものと心で観るのは異なり、それは脳科学で言えば交感神経と副交感神経を使い分けているものと同じようなものです。
交感神経は、別名「昼の神経」と呼ばれ、昼間、活動的なときに活躍する神経でこれが働くと、瞳孔は拡大し、心臓の拍動は速くなり、血管は収縮して血圧を上げ、体はエネルギッシュな状態になると言われます。
そして副交感神経は「夜の神経」とも呼ばれ、体を緊張から解きほぐし、休息させるように働く神経で副交感神経が優位になると、瞳孔は収縮し、脈拍はゆっくりとなり、血圧は下降して、体も心も夜の眠りにふさわしい状態になると言われます。
自律神経というものがあり、それはこの2つの神経でうまくバランスをとって生きているとも言えるのです。それが偏ると、自利神経失調症などの病気になってしまうともいいます。
これは人間の身体で起きていることですが、自然も体内も自然であるからそれは考えてみれば当たり前のことなのです。そして自然は昼と夜だけではなく春夏秋冬、男女などもすべてはバランスの中で絶妙に成り立っているのです。
そしてこれは景色にもあてはめられるのです。
例えば、そこに山があり太陽があり、そして光があり、木々や草花があり百花繚乱であることが美しいと感じ、またそこに海があり月があり風があり、空があって波の音があるだけで美しいとも言えるのです。
そしてこの美しいと思う心は、その調和したところに感じているように思います。
美しいとはつまり、色々なものが調和して美しいから美しいのです。
自分の心と体のバランスも、魂や心や体のバランスも、それぞれの機能や器官を偏って使うのではなく、バランスよく使うことで人は美しい感性を磨いていくのかもしれません。
自然の中で何を一番磨けるのかと感じれば、それはバランスなのかもしれません。
常にバランス感覚を磨き続けられるよう、自然を観察していこうと思います。