民俗の美学

昨日、昔一緒に仕事をした方が9年ぶりに訪ねてきてくれました。

ご縁を大切に人脈を大事にお仕事されている様子に、何時までも変わらない人柄に暖かい気持ちになりました。ご縁を活かそうという生き方をしている人は、いつ何があってもその活かそうとする姿勢からどんな場所でも境遇の中でも人を頼りに生きていけるように思います。

あの頃も学んだことをまた改めて思い返し学び直すこともでき、ご縁の不思議さに改めて感じ入りました。お仕事とはいえ、律儀で礼儀正しい働き方をされている姿というのは美しいと思います。短い時間でも9年間の心を通わせることができるのは、御互いにご縁がどうなっているかの確認をしているからかもしれません。

さて、その話の中で本質についての深めることができました。

今はスマートフォンなども台頭してきて、より便利により機能的にという風に人間のもともと持っていた機能を機械にやってもらうというものがより細かくなってきました。その中で様々なアプリも開発され、最近有名なのはタクシーを呼ぶのにGPSでボタン一つで近くのタクシーを呼び出すようなものも好評を得ているようです。

アプリの開発なども実際は、そのものの本質が何かというよりも開発する時間が間に合わないからという理由で他社より少しでも前にいっていればいい、安ければいい、もっと便利な機能がついていればいいという過当競争になっているようです。

先日のドイツでの話になると、ドイツではもともとタクシーとは「人を安全に安心に運ぶ」のが本質だからとそういう便利なアプリではなく、そのタクシーを乗客が評価してより質を向上させるアプリが開発され利用されているようです。あまり急いでとなると事故が起きやすくなるし、そんなことをすると大切なことが失われるからという配慮からだそうです。

今の日本は何か急ぎ過ぎて何でも早くとスピード重視になり、じっくり考えて正しく議論し取り組むという価値観が失われてきているように思います。善いものは長く時間をかけて取り組むことではじめて醸成されるのですが、何でも即席でとなれば質は必然的に下がると思うのです。

お互いの話の中では、気にせずに新たに自ら発明するしかありませんねと談笑しましたが私たちの会社で取り組んでいることもこの問いに似ています。何かのソフトも開発されマーケットに出てしまうと、すぐに比較対象がそういう機能や便利かどうかというモノサシで考えます。

私たちはそうではなく、その本質が何かから考えて取り組むようにしています。

それを行うことが誠実であること、自分に正直でいること、お客様に信頼されることだと信じているからです。どれくらいのスパンで物を観て、どれくらいの全体で捉えるかで時間軸や空間軸というのは変わっていきます。

子どもに関することだからこそ真剣に議論する、本気で思想や姿勢をチェックするという取り組みがなくては子どものためとは言えないように思います。

日本という国はもともとモノを大切にする美意識を持つ国です。

大切な物には、いつもお役目がありますからと接し、そのお役目を全うすると、お役目ご苦労様でしたと労をねぎらうのです。それはそのものが「はたらき」をしたことを称え尊重してきた私たちの姿勢、在り方のように思います。

このような便利な時代だからこそ、外から流入する価値観によってもともとあった価値観が消えさるのを指をくわえて流されるのではなく常に己に流れる血と歴史、その民俗の美学を温故知新していくことが開発者には求められるように思います。

人も物も環境もすべてはお互いに時代とともに成長しあえるものが、竟には互いをより役目に回帰し助けあうように思うからです。

子ども達のためにもこのご縁を歩む道のりに特に気を付け、少しでも子どもの未来に信が入るものを創造していきたいと思います。