自然のまんまの御漬物

先日、愛媛の松屋旅館にて宿泊し糠床の手入れやお漬物についての講話と実践を学ぶ機会をいただきました。

昨年より、自然から学ぶ中で微生物や菌の世界の素晴らしさをさらに実感し具体的な実践を通して学んでいく中での出会いでもありました。そして漬物を環境を用意して早速挑戦してみたものの手入れの仕方が分からず大変悩んでいましたが今回全てが腑に落ちました。

何でもそうですが実践してみる時に、今までのものがないというのはつらいことです。本来は、昔ながらの伝統が残っていて身近にそれを教えて下さる人たちがいたのでしょうが今では本やインターネットですぐに手に入る情報ばかりのようですがあれは実践している文章ではないものもたくさんあります。

特に売れるためにや宣伝のために書いている文章などというものは、現場で試してもどうしてもそれが腑に落ちず、とても悩むことばかりだからです。今回の糠床でもそうでしたが、本を購入しても調べてもためしてもどうしても分からなかったからこそ行動してみて本当に善かったと思います。

きっと私たちの保育現場であっても同じように情報過多で、真実の情報はとても少なく現場で試しても合わないものばかりで苦しんでいる方々もたくさんいるように思います。そういう方々へも少しでも手が届くようなところに真実の情報を届けていかなければ気持ちを新たにすることもできました。

さて、この松屋旅館の糠床は江戸時代から300年以上生きているもので漬けられているものです。御漬物の予約もして食べてみたのですが、今まで食べたものとは明らかに異なり全身が驚きました。

こんなに美味しい御漬物ならば毎日食べたくなるものだと感心したのですが、そのあとの女将さんのお話も全て目から鱗のことばかりで本当に楽しいお時間を過ごすことができました。

内容については、あまりにも情報の質が高くすべてをご紹介することはできませんが一部を紹介すると

「昔の方の智慧は素晴らしい、昔のやり方でやっていれば間違いはない。」

「子育てと同じで、手をかけてあげることが何よりも大事」

「糠床にも四季がある、そして呼吸する、しっかりと四季を味あわせてあげるといい」

「御漬物は美味しく食べ続けるから腐らない、おいしく漬け続けることが大切」

「御漬物が今どういう状態かというのは離れていてもすぐに分かる」

「糠床と仲良くやっていくといい、楽しみがでてくるようになるといい」

「自然に漬かるのをじっくりと待つ、そして食べる分だけちょっとずつがいい」

他にもたくさんの実践語録をいただき、我が家の御漬物も会社で取り組んでいくものの指針も頂戴することができ、これでまた皆と子どもたちの未来へ譲るものを一つ、キッカケを得ることができました。

最後に、昔の人の智慧については本当に頭が下がる思いがしました。今に残っている自然の智慧は、何千年もかけて私たちの先祖たちが編み出した生き残りのために自然から教えてもらったことを自然に教えてきただけでもあります。

自然から学ぶということは、そういうものを謙虚に素直にどれだけ今の私たちが子々孫々へ正しく実践を通して継承していくかというのが今を生きるものの責任であろうと私は思います。どんなに今の価値観が便利や目新らしい変わったものばかりが注目されようとも、長いスパンで物事を省みれば先人たちの行った偉業が眩いばかりに随所に残っています。

本来の智慧とは何か、今年も自然から学び直して自分を立て直していこうと思います。
今年は温故の価値を再定義する年になりそうです。