人間学と時務学というものがある。
本質を学び人間を陶冶していくと同時に、知識や技術を磨くということです。日々の体験から、内省をし自らを高めていくのと同時に、自分の強みや能力を磨いていくことが必用だということです。
孔子とドラッガーではないですが、その両面を常に高め磨く必要があるように思うのです。私も日々の論語と同時に海外のビジネス書を読み込み感覚がズレナイように取り組むのもそれがあるからです。
特に仕事の仕方というものについては、一般常識的な知識を磨くと同時に自分の強みを発揮する仕事の仕方というものも学ばなければならないと思うのです。その人その人にとってもそれが個性であるからです。
P・ドラッッガーの著書「明日を支配するもの」にこうあります。
「自らがどのような仕事を得意とするかは、特に知識労働者にとっては、強みと同じに重要な問題である。」
この時の仕事というのは、単に業務のことを言うのではなくどのような仕事の進め方や在り方を最も得意とするかという広い範囲での自分の得手不得手のことをいうように思います。自分がどのような強みがあるのか、そしてそれをどのように活かすのか、自分を知り自分に合っているかどうかに集中するともいうように思います。
「実際には、強みよりも重要かもしれない。ところが驚くほど多くの人たちが、仕事には、いろいろな仕方があることさえ知らない。そのため得意でない仕方で仕事をし、当然成果は上がらないという状況に陥っている。」
成果というのは、どのような仕事の仕方で進めたか、そのプロセスが徹底したものであればあるほどに確実に成果が実るとも言います。結果さえ出せばいいという考えが常に失敗を呼び込むのは、そもそもプロセスを蔑にして仕事の成果を求めてばかりで本来の仕事の進め方や在り方そのものの方に注力しないことが問題ではないかと思うからです。結果を求めずにプロセスを重視するものだけが最良の結果を生み出すことができるからです。これは結果だけが実力ではなく、本来はプロセスに努力精進しているからその両輪で一流の実力者になると言えるからです。
よくアマチュアとプロフェッショナルの違いで語られますが、アマチュアでは結果だけとか努力だけとか偏っています、しかしプロフェッショナルはプロセスを重視し日々の徹底した仕事の進め方に妥協せず、同時に結果を出すから一流と言われるのです。
この見えないところでの精進と、目に見えてくる精進がプロの所以なのです。
「強みと同じように、仕事の仕方も、人それぞれである。それは個性である。生まれつきのものか、育ちのものかは別として、それらの個性は、仕事に就くはるか前に形成される。したがって、仕事の仕方は強みと同じように与件である。修正できても、変更することはできない。少なくとも簡単にはできない。そして、ちょうど強みを発揮できる仕事で成果が上げられるように、人は得意な仕方で仕事の成果をあげる。」
自分の仕事の仕方を重視している人だけが、自分の強みと同じくらいの個性を発揮するのかもしれません。そしてそれは、その人らしい精進と強みの開花が、最良の成果を引き出すに至るのです。
「フィードバック分析は間違った仕事の仕方も明らかにする。その原因を明らかにできることはあまりない。しかし、間違いを発見することは難しくない。数年の仕事の経験は必要かもしれないが、やがていかなる仕事の仕方が成果をもたらすかは、直ちに答えられるようになる。いくつかの癖が仕事の仕方を規定するからである。」
本来のフィードバックとは、自分を知り自分を活かすということが何かに気づき改善することではないかと私は思います。孫子の兵法ではないですが、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」がありますが、自分の状況を事前に自覚することでより一層のプロセスに注力していくことができるということでしょう。
つい結果のみで判断してしまう昨今ですが、本来の実力とは何か、見定める力も指導者には必要であろうと思います。正直者がバカを見ないためには、正直とは本当は何かということを明るみにしていくことのように思います。
素直に取り組む人は、日々のプロセスの大切を知る者です。
何を自己監督していくべきか、事実は現実とともに明らかになるばかりです。