昨日、国立科学博物館でグレートジャーニー人類の旅の特別展を見てきました。
もともと人類はどのような経路をたどって今に至るのかを、科学的に解明していくのは大変興味があるものです。それを探検家の関野吉晴氏がその足跡を辿りながら、原住民やその土地の人たちと触れ合い人類の生き残るための智慧を洞察したものです。
興味深いものはたくさんあったのですが、どれも自然と文明との共生をどうするか、先人の智慧に学びどう活かすか、忘れてはいけないものは何か、今までに感謝しこれからの子孫へ遺していくものは何かと、今の私たちに訴えかけてくるものです。
人類は、今までも様々な困難を乗り越えて世界へと分布してきました。新天地を求めて旅をし、どんな厳しい環境の中でもそこで生活していこうと努力してきました。まさに私たち人間のDNAは、新天地を求めて挑戦し、そこの生活に適応していくことで生き残ったのかもしれません。
そう考えてみると、いまや月や火星にまでいきその宇宙空間でもどうやって順応していけばいいかと挑戦しているともいえます。
ここから洞察できるのは、種を遺すためにどの生命も必死に適応しようと進化を已みません。そしてそれは新しいいのちとのつながりを求めていく旅をしているのかもしれません。つまりは、生き残りの智慧というものは頭で理解し考えるずっと以前から自分の中に備わっているということです。
人は、誰が教えなくても本当は生きる智慧も生きる力も備わっているともいえます。それが教えられることで邪魔され本来のものが出てきにくくなっているとも私は思うのです。今のように教えられることが多い世の中にいれば、当然、関野氏のような教えの削除のような実学による体験が必用ではないかと思います。
先人の智慧を学ぶのはその格好の学習材料です。その中で、忘れてはならないことと今を生きる上で大切なことを学び直すことであろうと思います。
その探検家関野氏のインタビュー記事(TOKYO人権52号より)をご紹介します。その中で特に印象に残ったのは、
「ぼくが訪ねた先住民社会では、みんなが「ハッピー」でした。自分と自分の家族だけが良ければいいなんて考えは、彼らにはありません。獲物が獲れたらコミュニティの全員で分けあう。でも、日本を含め、先進国はどうだろう? 自分と自分の周囲のことだけしか気にしない人が増えているんじゃないかって思います。」
「自分さえ良ければという考え方ではなく、地域の人同士で助けあおうという考え方なんですね。ただ、助けあいながらも、個人を尊重することは大切です。それは、民族や文化においても同じです。自分と異なるものを批判するのではなく、認めあう姿勢が大切だと思います。」
「思ったことをまっすぐ言わないところは、なんだか日本の若者に似ていますね(笑)。でも、ぼくは、迷惑をかけあえるつながりが本当のつながりだと思うし、本当の友達や家族なんだと思いますよ。」
自分さえよければいいという自利中心の世の中に、生きる智慧はないのかもしれません。常に利他中心で家族のように互いを大切にしていくことにこそ私たちが旅をしていくための最大の鍵があるように思います。
ご縁を大切にしていくことを再認識する機会になりました、有難うございます。