昨日、GTセミナー終了後に皆で乗合したタクシーで貴重な学びとご縁がありました。
そのタクシーの運転手さんは、公益財団法人東京タクシーセンターが発行している「優良運転者表彰」を受賞している方で15年間、無事故無違反、また対人トラブルがなかったので表彰されたそうです。
物腰もやわらかく、人柄も滲み出ていたのでなぜこれを表彰されたのですかとお聴きすると「当たり前のことを普通にやっただけです」と答えられました。
その当たり前とはなんですかと私が聴くとこう答えてくださいました。
「当たり前とは気分で仕事しない、気分を仕事に持ち込まないことです。」
それではそのためにどのような工夫しているのかもしよければ教えてくださいませんか尋ねると、
「気分がよくないと思う時は、無理をせずに休みます。それは例えば、どこかに車を停めて深呼吸したり、自らを整えてからまた車に向かいます。」
と仰いました。お客様との人間関係や、交通状況で色々と気分が左右されてしまいそうなことがあるようです。そういう時は、無理をせずに一呼吸置いてから運転するようにしているそうです。
私がそれは「平常心」のことですかとお聴きすると、「そうです」と答えられました。これはつまりは、常に自らの状態を平常心を保つことで仕事を当たり前に積み上げていく実践を行っているということだと思います。
この自らの気分を常に見定めてということはとても大切なことであろうと思います。
人はその時その環境、相手や状況の気分次第でいくらでもムラっ気が出てしまうものです。それが様々な本質から外れ、取り組むことへの品質を下げてしまうのです。初心の維持とは、自らのモチベーションの維持に似ています。
大切な仕事や重要な仕事は使命に立脚しているものです。それは何年も何十年も同じことを続けてはじめて為されるものです。二宮尊徳の積小為大の言うように、大きいことは日々の小さい実践の集積の上にはじめて為るからです。
それをいちいち気分で為ったとか為らないとかで時々の自分次第の気分を持ち込んでいたら、決して目標を掲げた山は積み上がっていくこともありません。
日々というものは、毎日変化し万物も流転するのだから同じ日はないのです。そんな中でも自分の方を見定めて、変化する日々の中でも変化に応じつつ虚心坦懐に初心を忘れずに取り組んでいるとそこに結果が後からついてくるということなのです。
昨日のタクシーの運転手さんの実践から、その姿勢次第で結果が必ず着いてくることの証明を教わったように思います。
つい人が目先の派手なことに囚われるのはその時の気分がそこに入っているからです。気分を持ち込まないというのは、初心を忘れないことに似ています。常に自分が気分次第で最初に決めたものを変えたりしないように、平常心を保つ日々の精進こそが本質からブレないコツのように思います。
長年続いていくこと、本物は続くのは気分でやっていないからです。
タクシーという仕事は、人の命を載せて運ぶ仕事でもあります。だからこそ、その本質として平常心を維持し安心安全に実践を重ねるということを貫こうとされている方とご縁があったのは有難いことです。
身近な学びを大きく自分に置き換えて、学んだことは心に据え置きして新たな精進を積んでいきたいと思います。