本物の実力~リーダーの育成~(常本番の定理)

人は何によって成長するのかを考えるとき、それは具体的な仕事によって成長するということが分かります。学校のようにいくら受講形式で学んだとしても、それが具体的な成長になるかといえばなりません。

例えば、海で泳げるようになるには教科書を読んでも泳げる人の話をただ聞いても泳げないのは水に慣れないからです。そして自分で実際に泳いでみたことがないからです。そしてもしもプロのように上手に泳げるようになるには目的が必要になります。それが仕事としてレスキューするとか、スキューバをするとか本番実践の現場で成長し上達するのです。

これは「人を育成するもっとも役に立つ教育の道具は、仕事である」というドラッガーの言葉を忘れてはならないということです。

ドラッガーは、マネジメントといった実力を備えるためには「経験が必要」であり、「実践の場」で、しかも、「マネジメント力が必要とされる立場での経験」が必要だと論破します。

そのような立場が与えられていないのでは実力は備わることはなく、挑戦的で大きな責任と権限が伴う仕事こそがその人を真に成長させるのだと見抜いています。今の社会では責任を持たずに仕事をすることで仕事になっているところがあります。

それでは責任のない形式的な作業になり全体の問題や課題を解決するものにはなりません。しかしその人が本質的な仕事を身に着けるには自らで問題や課題を解決するために全責任を果たすようなリーダーとしての仕事になっている必要があるのです。そしてそこではじめてその人物は本物として成長して確固たる真の実力を備えていくのでしょう。

ドラッガーの言う本来の学習とは、会議室や教室の中で受講する形式で行われるようなものではなく必ずアプライ(実践への適用)によってのみ可能であると言い切ります。これは今までの学び方を刷り込みを指摘するものであり、マネジメント力をつけさせるのに単に上司の講義や過去のケーススタディーで終わってしまい、実践への適用がなされなければ決して本物の力はつかないということなのでしょう。

このブログでも、ブログで読んだだけでは学べず読んだことを実際の現場で試すことではじめて本質がものになっていくという具合なのでしょう。真に学びが多い人はそれだけ多くの現場を持っているということです。

現場に出る大切さや現場そのものがなぜ大切で必要かと言えば、その本番の場数を体験しなければ決して人は本物として成長しないということを自覚自明するからです。自分の今までを思い返しても、今あるプロフェッショナルの仕事はすべて現場で身に着けた智慧だからです。

学んだことをすべて現場で試す、現場でぶつける、現場で検証する、現場後に改善する、全てが現場実践、つまりは本来の仕事とはすべて「勉強のための勉強」ではなく、社会で活用し有効となるために「本番のための本番」でなければならないということです。

いくら勉強ばかりしたとしても本番で善い仕事ができなければそれは決して実力が備わった一流のリーダーになったとはいえません。一流のリーダーや人格を磨くというのは学んだことを現場で活かすために学ぶのです。

それは言い換えれば、現場で学び、現場で育つ、そして具体的に自分の強みを活かし、自他を活かし、会社を活かし、社会を活かし、世界を活かすという自らリーダーとして自立するということを意味しているように私は思います。

現場とは本番だという定義を持ち、本番こそが人を育てるということを確信することでしょう。
私自身も刷り込みによって、教え方を間違えてしまうことが多々あります。
常に成長とは何か、リーダーとは何か、強みとは何かを忘れないようにしたいと思います。

人材育成はリーダー育成であることを肝に銘じて精進していきたいと思います。