自他一体のフィードバック~おもてなし~

人は相手の立場に立つことで相手のことを深く理解できます。

以前、ホスピタリティについてあるニューヨークで大変有名なレストラン経営者ダニーマイヤーさんの話を聴いたことがあります。

その際に「ホスピタリティを高めるには、相手の『ありがとう』に対して『それはなぜですか?』を集めていけばいいだけです」とありました。お客様へのおもてなしは、相手が嬉しいと思うこと、有難いと思うことを集めていけばいいとありました。

実際は簡単なことですがそれを継続して実践していくには仕組みが要ります。

人間は放っておけばいつも自分本位でばかり物事を考えます。自分の興味関心のみに追われ忙しくしては自己保守に終始してしまうものです。そうやっていつも自分の事ばかり考えて自分の感情でばかり事実を見ていたら、相手の気持ちに共感することを忘れてしまうのでしょう。

ホスピタリティとはいつもどんな時でも相手の心に寄り添っているものです。心を寄り添うことも怠り、自分のやりたいことばかりを周りに押し付け、心を合わせもしない、それを決してコミュニケーションとは呼ばないように思います。対話というのは自分の要求を押し付けるのではなく、どれだけ心を寄せることができたかということです。そして心を寄せるものだけが真の行動と真のアイデアをカタチにしていくことができるように思います。

思いやりや真の優しさというものは、一事でいえば”心を寄せ続けてそれをかたちにしていく”ことであり、それを毎日小さなことを積み重ねることで自他一体の場所に表裏なしの人格が磨かれるようにも思います。自分を心配しすぎて心を寄せないから心を亡くし頭で考えて何かを急にやろうとしても、付け焼刃では付け焼刃の結果しか訪れません。相手を自分そのものになるくらい、相手の心に寄り添うことが相手に安心され信頼される人になっていきます。コミュニケーションの本質は人は相手を通じて自分を見つめ、そして自分の心を見つめて大切にすることで相手の心を見つめ大切にするのです。

相手ばかりをみては矢印を相手に向けるだけになったり、自分だけを見ては自分にだけ矢印を向けるのではなく、相手は自分かもしれない、自分が相手だったかもしれないといつも思いやることではじめて仕事も本物になっていくのでしょう。そういう人がご縁を感じ、御蔭様が観得て、感謝のままでいられるのです。

すぐになんでも自分で一杯にする前に、もっと相手を喜ばせたいや有難うと言われたいと心楽しく身近でできる小さなおもてなしに取り組んでいくことでおもてなしのできる素直な心もまた育っていくのかもしれません。

お客様からのありがとうを自他一体のフィードバックを通して一つ一つカタチにしていきたいと思います。