相乗効果(シナジー)というものがあります。これは二つ以上の要因が同時に働いて、個々の要因がもたらす以上の結果を生じることを言います。
全ての出来事を振り返ると、効果というのは常に一つ以上の要因が重なり合って発揮されているように思います。人々がもしも大きな目的に挑戦するとき、誰にも頼らずに自分だけできるものなど存在しないと諦めることができるなら、同時に自分が相乗効果のためにベストを盡せばいいと覚悟を決められますが刷り込みが深く個別の成果は意識していても、相乗効果に対しては意識がいかないものです。
「7つの習慣」の著書、スティーブン・R・コヴィー氏は、相乗効果についてこう語ります。
「相乗効果は人生において最も崇高な活動である。残りの習慣すべてが身についているかどうかのテストであり、またその目的である」
つまり自分の習慣は、自分自身の実践がどれだけ全体の効果を発揮させたかをみることだと言います。自分だけは自分らしい実践を怠っても問題ないだろうという意識というのは、相乗効果の真価に気づいていないのかもしれません。
例えば、何かの仕事は一人でやった方が早いと思っている人がいます。もちろんそういう仕事もありますが、実際は自分の思い通りに進められない、他人と進めるのは面倒だといっては協力したくないから自分だけで全部処理していこうとします。しかしその時、肝心な視点が外れていることに気づきます。
それが相乗効果(シナジー)の価値です。
一人では相乗効果(シナジー)は生まれず、二人以上でそれぞれの個性を発揮して目的に対して助け合い協力し一緒に何かを行う時、自分の想像を超えるような効果を目のあたりにするものです。
自分だけではできなかったことが、誰かの協力によってできるという実感。それは例えば、離れていても心を寄せてくれる信頼できる人の見守りを感じているときや、仲間が勇気を出して諦めずに挑戦する背中を感じた時、そういう無形のものでさえ自分のモチベーションを高めてくれたり、信じる力を集めてくれたりと様々な相乗効果(シナジー)を発揮してくれるのです。協力の楽しみや協力の有難さ、協力の真価を知れば如何に相乗効果が素晴らしいかに気づけます。
そしてそれは常に「一緒」であること、助け合おうとする心、それぞれが自分の決めた実践(習慣)をそれぞれが確実に守ることで役割を果たす時に相乗効果(シナジー)は高潮するように思うのです。
仲間がいるということや、チームで取り組むということは、一見、みんなで同じことをしていることのように勘違いしている人がいます。しかし本来は、一人ひとりみんながそれぞれの個性を存分に発揮してそれぞれが全体のためにできることを全身全霊で実践するのを怠らない時にこそ期待以上の成果を全体に及ぼしているのです。
常に視点は自分だけのことを考えるのではなく、自分の実践がどれだけみんなの力になっているか、自分の習慣がどれだけみんなの効果につながっているのかの自覚を大切にして、皆の守りたい理念や優先したい目的に協力していこうとすることが自分の全体の中での役割を知る近道なのかもしれません。
同じことをするのは一緒ではなく、バラバラでも一緒であることはあるのです。それぞれが自分らしく協力する実践を一緒にしていればそれはバラバラでも一心同体です。一心同体になったとき、相乗効果(シナジー)は奇跡を呼び込み、一人ひとりの役割を明確にし、人と人の絆、そして人間であることの幸せを感じられます。
子ども達の未来のためにも、一人の力云々よりも、相乗効果(シナジー)の一員であることに誇りが持てるような社會を実践人になって創造していきたいと思います。