昨日、クルーの引っ越しのお手伝いをさせていただく機会がありました。引っ越しは、自分を見つめ自分の生き方を変えるチャンスでもあります。それまでどのように生きてきたかがそれまでの暮らしを自己分析することができます。そして引っ越しを経てこれからどのように暮らしていくか、自分の生き方をまた分析することができます。
引っ越しという語源は不明な所が多いのですが、「引く」という字と「越す」という字で形成されています。これは私の勝手な解釈ですが、引くというのは執着から離れることであり、越すは向こう側へと往くという気がしています。今までの自分の我欲を離れて執着を手放し、新たな自分の生き方を見つめて生まれ変わっていくということです。
人生には節目があり、何度もその機会は訪れます。その都度、生まれ変わり素直になれるかどうかが試されるように思います。
引っ越しは他にも「家移り」という言い方もし、家を移るというのは本来の家人として在るべき姿になるということでもあります。一家という考え方で、人は所属する場所に入ることは一家の一員になるということです。
その家人として恥じることのない自分でいるのは、誰がみていようが見ていまいが恥ずかしくないような生き方や暮らしを実践していくことのように思います。
よく一家のことを「一門」という言い方をし、同じ師を持つ人たちを同門といい、その家のものであることを一族ともいい、一門であることに誇りを持つのです。一門であるからこそ「一門の名折れ」という言い方もあり、その生き方こそが一家の生き方だと自戒する意味でも使われます。
家が移るというのは、単なる部屋が変わるだけではなく本来は家が変わるわけですからその覚悟をもって引っ越すのが古来の引っ越しの意味だったのではないかと思います。
どんな家に生まれてくるかは選べませんが、どんな一門に入るかは縁があれば自分で選べます。師に恥じないような生き方や、同志や仲間に恥ずかしくない自分であることが誇りにもなります。
引っ越しの手伝いをしながら、新たな暮らしをはじめる仲間に応援のエールを贈りたい気持ちです。新たな生活では実践こそが恩返しだとし、一期一会の挑戦を愉しんでいけるといいなと思います。
環境が変わるというのは自分の心の環境が変わるということですから、環境が変わる前に自分が変わっているということに気づくことが環境の本質であろうと思います。今回の引っ越しのお手伝いを通して私も学び直してみたいと思います。