身体と生態系

体調を崩し、改めて気づくのは生態系についてです。私たちの身体も自然が創造した自然の一部ですから、この生態系の道理は自分の内なる身体の中にも存在しています。

例えば、食べる食べられる関係で自然界は絶妙に調和しています。そこは御互いが御互いを活かし合うための共生の世界です。その調和が生態系によって守られていることで自然界は平和に安定しているとも言えます。

もしもそこに生態系が崩れるようなことが起きたなら、あっという間に自然界のバランスは崩れまた調和するまでに長い年月をかけて自然治癒していきます。何か一つの種が絶滅するだけでも、全体に与える影響は大きく、他の生き物がその代用をつとめられる場合は良いのですがそうならない場合は大量絶滅してしまうとも言います。

人間の身体もこの自然の仕組みは働いているとも言えます。

腸内細菌をはじめ、皮膚常在菌、またはあらゆる場所に何兆という数の微細な生き物たちが生息して人間の身体を活かしているとも言えます。つまり私たちは内なる身体の中に外の自然界と同じような生態系を持つのです。

その生態系は、そのまま外の自然とつながっていて外の自然の延長線上に内なる自然はあります。今は清潔に除菌殺菌し、あらゆる外界の自然を汚いものだとして排除していますが本来は外にある自然と繋がって内なる自然があるのですから生態系は結びついていたともいえるのです。

その関係を断ち切って、あらゆるものを消毒して清潔にし過ぎていたら内なる生態系も変化してしまいます。一昨年、サナダムシを敢えて自分の身体に取り入れ「キヨミちゃん」という名前をつけて共生しているという寄生虫学の藤田紘一朗博士がいることを知りました。その方は、身体で共生しているサナダムシの御蔭で花粉症にもならず中性脂肪もおちて健康になったと言います。

寄生虫を体内で育てるに至った経緯についてはこう語ります。

『排便の流れる川で子どもたちが水遊びをし,その水で炊事や洗濯をしている。実際,調査すると全員が回虫にかかっている。ところがですよ,我々から見たら,そんなバイ菌だらけの汚い生活をしているにもかかわらず,子どもたちの表情はみんなはつらつとしていて,肌もつやつやと黒光りしている。その上,アトピー性皮膚炎,花粉症,気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患の人がどこを探してもひとりもいない。当時,日本の子どもたちにアレルギー疾患が増えだし,奇病として注目され始めた頃です。「これは回虫がアレルギー抑制に関係しているのでは」と直感的に思ったんです。』

そして「寄生虫や微生物がいない清潔過ぎる社会は、逆に不健康である」と言い切ます。

今回の急逝扁桃炎という病を得て、如何に免疫が大切であるかを実感しました。結局は免疫が下がるとそれを補うために自然治癒としての病気が発生します。そこからまた生態系のバランスを恢復させようとするのです。

自然の生態系を崩すような都市型生活スタイルを続けていれば自ずから免疫というものは低下していくのです。本来の免疫を高めるような自然に沿った生活スタイルと既存の今までの都市型生活スタイルとのアンバランスが今の身体の状況を造ってしまっているような気がしています。

これは自然か不自然かではなく、如何に中庸調和を維持するかは日頃の身体との対話に由ります。現代社會の都市化された中での生活と、田舎での生活の折り合いをどのようにつけて自らの内なる生態系を見守っていくか、、、まだ答えはでませんが今回の御縁をキッカケに改めて向き合ってみようと思います。

子ども達が将来、生態系が消失し多様性が存亡しなくていいように今の自分たちの世代で未来のことを心配した行動を一つでも多く残したいと思います。