バイオリズムと融通無碍

人間の体調にはバイオリズムというものがあると言います。これは20世紀のはじめにウィーン大学の心理学教授 H・スウォボタ博士とドイツ科学アカデミー会長 W・フリース医師が患者の容態の変化に周期性があることに気付き、23日周期の身体リズムと、28日周期の感情リズムを発見したことで見つけられました。

現在では主に、人間の場合は、身体(Physical)、感情(EmotionalまたSensitivity)、知性(Intellectual)の3種類の波を用いて説明されています。

生命はある周期で、波の満ち引きのように体調や感情、感覚などが上がったり下がったりしているということです。体調もずっと同じままではなく、知らず知らずのうちに下がっていたり上がっていたりしているということです。それらのバランスによって集中力が高まったり、もしくは感情が落ち着いたり、様々な変化があるということです。

確かに、天候が日々に変化するように私たちのカラダも変化します。それは外側の変化に対して順応しようとする自然の変化であり万物はバランスを取ろうとして変化を已みません。もしも外側が全く変化しないような世界であったなら、こちら側も全く変化しなくても済むのでしょうが実際は季節感、温度、時の流れ、場所の位置、老化に病気まで様々なストレスを抱えて変化は促され続けます。

こういう時には、バランスを整えて変化に適応していくしかありません。しかしバランスが崩れてしまい変化適応が上手くいかない場合が多いように思います。バイオリズムなど無視しては、思い通りにしようとする執着ゆえによりバランスは崩れていきます。

人がバランスを崩すのはどういう時か、それは崩したかどうかではなく崩した時に無理をするかどうかということです。昔、メンターの先生に「調子の悪いときに無理をしても効果がない、調子が悪いときはじっとして調子が上がったらまた動けばいい」とアドバイスをいただいたことがあります。

人は焦ると、かえって調子が悪いときに頑張ろうとするものです。バイオリズムがよくないときに何をやってもそれはもはや単なる執着いがいの何ものでもないのだから思い切って手放し諦めて開き直ることで調子が戻ってくるのが早くなるものです。

時の流れも同じく流れが悪いときはなるべくじっとして、流れがよくなってからまた動けばいい、融通無碍にいることがバイオリズムに逆らわないで生きるための妙法かもしれません。

動中の静も、静中の動もその時々として深い意味が潜んでいます。潜龍のように沼に潜んでは蒼く澄んだ水鏡の天を見据えて鋭気を養いたいと思います。