生き物たちを活かす生き方

今、人間以外の生き物は絶滅の危機にさらされています。生態系というのは、渾然一体に食べ食べられ御互いを活かし合い命を伸ばし合う関係ですがそれが人間の都合で自然を変えることでそれまでの生態系を画一化してしまいそこから種が消えていく連鎖が止まらなくなっているのです。

どれくらい絶滅スピードが上がっているかというと恐竜時代は1年間に0.001種、1万年前には0.01種、1000年前には0.1種、100年前からは1年間に1種の割合で生物が絶滅していると言われます。絶滅のスピードは加速し今では1日に約100種となっています。つまりこの計算では1年間に約4万種がこの地球上から姿を消していることになります。この100年で約4万倍以上の加速で世の中から種が消えています。さらにそのスピードは加速を続け、このままでは25~30年後には地球上の全生物の4分の1が失われてしまう計算になっていると言います。

実際はより複合的に総合的に御互いが絡みあっているのが自然界ですから、ひょっとすると以上のスピードよりも速く絶滅してしまうかもしれません。以前は巨大隕石の衝突や、火山の天変地異で滅亡したことがありましたが今は人間の欲望で滅亡する時代です。コントロールできず肥大化した不自然は、人間以外の生き物たちのいのちを先に奪い、最期には人間のいのちを奪ってしまうのでしょう。

絶滅のスピードを速めることで分かっている範囲では野生動物の乱獲、生物資源の乱獲、森林破壊、農薬や薬剤の散布、排ガスや空気汚染からの酸性雨、合成洗剤などの身近な生活環境汚染の積み重ねによるものと言われます。

しかし本質は、人間が何よりも優先され周りの生き物たちへの思いやりや配慮がない暮らしをしていることが原因であるように思います。自然農では、作物を育てますが取り過ぎることがありません。その上で周りの生き物たちが生活できるように薬をまかず草をのこし他の生き物たちが一緒に暮らしていけるように配慮します。

生き物たちが一緒に暮らして多様性が働けば、一部の生き物たちが暴れたり食べ尽したり取り過ぎることはありません。人間が薬をまいて全ての生き物たちを殺傷したときだけ、その後、一つの生き物が大量に増えるため農園に問題が発生するのです。実際に取り過ぎず、分を弁えて周りを思いやっていけば自然は自ずから調和するようにできています。そしてその時だけ、末永くいのちは活かし合い生きながらえる仕組みになっているのです。

将来のことを思えば、今の子どもたちが大人になった時にはほとんどの生き物たちがこの世の中からいなくなっていきます。今、気づいたなら一人ひとりが身近な実践から生き方を変えていくしかありません。

地球が喜ぶものを使うとか、地球が悲しむものをやめていくなどもそうです。何を実践することが、他のいのちを思いやり、何に配慮することが周りのいのちを活かすのかということをそれぞれで身近な暮らしから見直し取り組んでいくしかありません。

壊れていくスピードが速いからと、絶滅は止められないからと何もしないでは子どもたちの未来に対する責任が果たせません。今、自分ができる実践を積み重ねることはたとえハチドリの一滴であっても、大海に石を積み上げるようであっても、その実践の祈りは必ず未来に引き継がれていくように思います。

今は人間生命時代の大転換期です。

この時代に生まれてきた世代であることを誇りに思い、生き物たちのいのちを活かすために今の自らの生き方を見直し、未来の子どもたちのために変えられるところから一つずつ丁寧に丹精を籠めて変えていきたいと思います。