苦労の至宝

昨日は、北海道浦河町にある「べてるの家」と「浦河ひがし町診療所」を見学するご縁をいただきました。お昼のランチには、べてるのカフェ「ぶらぶら」にてランチを頂くこともできました。

この浦河町という町に、志を決めた方々が存在し、この小さな町から発信していくチカラ強さに驚くことばかりの一日を過ごしました。まずべてるの家の理念は、「・三度の飯よりミーティング・安心してサボれる職場づくり・自分でつけよう自分の病気・手を動かすより口を動かせ・偏見差別大歓迎・幻聴から幻聴さんへ・場の力を信じる・弱さを絆に・べてるに染まれば商売繁盛・弱さの情報公開・公私混同大歓迎・べてるに来れば病気が出る・利益のないところを大切に・勝手に治すな自分の病気・そのまんまがいいみたい・昇る人生から降りる人生へ・苦労を取り戻す・それで順調」というものがあります。

これはべてるの家が、日々の出来事の中から気づいた大切な初心を取り戻すための実践目録でもあり、この考え方や生き方を優先していけば病気は善いものに転じられると考えられているものではないかと私には感じました。文字だけを読めばなんのことかはわからないと思いますが、べてる用語といってその組織が育んだ文化は言葉に顕れているのが分かります。

私達の会社にもカグヤ用語として、分かった気にならないことや自分に矢印、聴福人など自分たちの気づくの中から大切な初心を忘れないための言葉たちがたくさん生まれています。言葉というものは、自分自身と向き合える大切な道具でもあり、また刷り込みを取り払い本来の姿を自覚するための大切な神器でもあります。

一緒にいきていく人たちが、何がもっとも大切なのかを御互いに認め合い自覚しあい助け合うためにも理念の共有合ってこそのこの仲間づくりであろうと私は思います。何のためにその経営をするのかという、根本意識はどんな経営をするのかという方法論よりも常に先んじていることが生き方を仕事にしている人には何よりも重要なのです。

私がべてるの家を観てもっとも同感したのは、人間関係の苦労を大切にしているところです。人間は「人の間」と書きます。人は人と関係を持ち、人間関係がもっとも人間を人間らしくし、人間が人格が磨かれ人間になるものです。その苦労を避けてしまうと人間はやはりどこか歪んでしまうように思います。人間関係に自立と共生は欠かせない学びの項目です。その人間としての苦労を避けるのではなく、敢えて御互いに苦労を味わいながら生きていく中にこそ最高の宝があると私は思います。人間としての歓びは仲間ができることです。その仲間がいて助けてくれるのなら、その人は仕合わせな人生を送れます。

先日のアイヌの活動家アシリ・レラさんの言葉にお父さんの教えとしてもっとも大切なのは「仕事ではない。食べることではない。お金を得ることではない。人間関係がいちばん大変なんだ。これができる子になったら、世の中は怖くない」とあったそうです。

苦労を悪いものにしていないべてるの家の実践は、多くの人たちに今の時代に必要な御互いを思いやる心を育てることや、自立と信頼を絆にする仲間づくりのための要諦が詰まっているように感じました。

その他にもべてるの家の生き方を拝見していると、私たちの会社に共通するところが非常に多く有り難い勇気をたくさんいただきました。子どもに譲れるものばかりに溢れていて今回のご縁に改めて深く感謝しております。

まだまだ書きたいことが本当に多くありますが長くなり過ぎるので明日のブログで、浦河ひがし町診療所の有り難いご縁と内省から学び直したことを書いてみたいと思います。