昨日は、稲刈りをしたあと東京都の目白にある御祭りに参加し御神輿を担ぐ御縁をいただきました。人生ではじめて御神輿を担いで二時間ほど街を練り歩きましたが、今までにない体験をすることができました。
そもそも日本の御祭りは、民族の伝統文化です。世の中には宗教とかいう人もいますがこれは生活文化であり日本人が古来から大切にしてきた生き方を示すものであり道徳の姿を遺すものです。つまりは私たちの先祖が、どのように暮らしてきたか、何を大切にみんなで優先してきたかを体験をもって伝承していく大切な伝統なのです。
御神輿のルーツとして有名なのは、奈良時代(749年)に九州の宇佐神宮にある八幡の神が、東大寺の大仏建立に無事祈願というお告げを出しました。その八幡の神が遷座する紫色の輿のがはじまりだと言われています。
つまりは私達を見守ってくださる高貴な神様(御魂)が、別の場所へと移動するときに使われたものということです。以前、氏子として地元の神社の御社の建て替えに参加したことがあります。その際にも、神様に御神輿のようなものへ入って移っていただきみんなで新たな御社へと運んでいきました。
日頃、御山に鎮座する神様が御神輿に乗って街を練り歩くのは人々の心の穢れを払うために行われたと言います。皆で、私たちの土地や風土を見守ってくださっている存在に祈り祀り、心を澄ませて仲良く助け合い思いやる様にと和を尊び待ち望む。
御祭りの「わっしょい」という掛け声も、語源には「和を背負う」「和一処」「和一緒意」となったともいいます。和を一処にするというのは、どのように子孫たちが道を歩んでいけばいいか、先祖や親祖が子ども達に何を大切に暮らしていけばいいかとその祭りの神事、行事によって先祖たちが大切にしてきた真心の暗黙知をカラダで伝承するのです。
重たい御神輿も、みんなで息を合わせて声を合わせて担ぐと不思議と苦しさよりも有難さが増して大変ですが楽しく豊かな時間を過ごせます。御神輿を揺らし、御神輿を掲げ、さらに揺さぶれば神威が増していきます。この神威とは何か、それは私たちの民族の根底に深く眠る魂の故郷のことです。
古来より時代を超えて魂が揺さぶられる体験というのは、このお祭りによって行われるのでしょう。もう一度、急激な近代化によって停滞した民族の和魂を揺さぶり起こし、呼び覚ますのはこのお祭りのチカラからもしれません。
和を取り戻す一つの仕組みとしてのこのお祭りの意味を、子どもたちの未来の伝承へ向けて再発見し、日本に祈りたいと思います。新たな三種の神器を得た気がして有り難い御情けとご縁に勇気が湧いたとともに感謝の心に充ちました。引き続き、子ども達に譲れるものを温故知新して社業に邁進していきたいと思います。