シンガポールにてイングリッシュスクールや大学、学生寮やホームステイ先を見学する機会がありました。ここはアジアのあらゆるところから人が集まり、学校で英語をはじめ様々な技術を学んでいます。
昨日訪問した学校などはすべてアジア各国の多種多様な文化を持つ子どもたちが、共同生活を通して学びあっていました。日本人はとても少なく、こういう環境の中でこれからは時代がさらに人類の原点回帰に動いていくのではないかとも直観しました。
人は国の違いではなく、価値観の違いというものにもっとも影響を受けるものです。国が違っても価値観が同じであれば安心しますし、もしもあまりにも価値観が異なればその中でどう折り合いをつけるかを話し合う必要が出てきます。この折り合いをつけるチカラがこれからは必須の能力であり、そのためには人間性としての素直さや正直さ、さらには柔軟性が必要になります。それは別に「どうでもいい」といういい加減な態度ではなく、「それもいい」というような好い加減が必要になります。似て非なるものの中には相手を深く尊重し尊敬できる人物かどうかが大事になるのです。
オランダで学んだ時もそうでしたが、如何に寛容の精神を持ちすべてを受け容れつつも自分自身をしっかりと立てることができるかはこれからの自立と共生において求められている大切なスキルになります。ビジネスマンに限らず、あらゆる職種の人たちは多様な価値観が混ざり合うこの時代には国際人としての感覚が必要になると私は思います。国際人の私の定義は、徳の人物ということです。孔子はこれを君子といい、政治の根本を語りましたが2500年を経ても普遍的な真理はいよいよ過渡期を迎えているように感じます。
そういう意味において、この海溝都市のシンガポールは交流する強みを活かしてあらゆる人種を受け容れる教育を先に進めていたことになります。教育とは時代の先を読んだものでなければ今に合致しませんから今のシンガポールはもうすでに数十年先にこの時代を予見していたということです。
そのシンガポールも今は、国際バカロレアにあったように能動的学びの必要性を感じ教育の舵を大きく切っています。これから求められる人材はこれからの時代に必要な人材のことです。ここから何を予見するかと顧みると今までの一つの価値観の押し付けをやめて、多様な価値観を受け容れる教育へと変わったということです。
それはつまり、多文化多言語多人種が混ざり合う世界への変遷です。
混然一体になりながらも、理念や信念を守り大事なことを貫ける人物。あらゆる価値観がぶつかり合い人間関係が混雑してもその中で自分自身の個性を発揮できる人物。さらには、それぞれの持ち味を活かせるような環境を用意して調和を保ち協働で思いやる関係を築ける人物がこの先の時代のリーダーになるということでしょう。
教育は常に今の時代から予見できるものを準備しなければなりません。だからこそその仕事に携わる人たちは、常に今の状況を深く洞察しそこから自分自身を変え続けて変化を先取りしていく必要があります。
アメリカGEのジャック・ウェルチが「Change before You have to!」と言いましたが、変革を迫られるまえに変革することこそがもっとも先取りする方法だと私も思います。挑戦者は常に時代の先を支えています。変化しなければならないという消極的な姿勢よりも、好奇心をもってどんどん変わっていこうとすることが人間本来の変化の源泉だと思います。
引き続き、混ざり合うものを感じつつ変化を楽しんでいきたいと思います。