何か物事をはじめて取り組むとき、それが人々に情報として広がっていくことがあります。今のような情報社会の中で、如何に情報を広げるかはそれぞれの企画の会社が取り組む課題でもあります。しかし情報には、広がるというのと広げるという考え方があります。広がるのは自然発生的に広がるのであって、広げるのは意図的に広げるということです。
この「広がる」と「広げる」というのは、情報リテラシーを学ぶ上でとても大切な認識となります。
私たちの商品の一つにミッションページというものがあります。これは理念実践の発信を行うことですが、何か広報で広げようとするのではなく自ずから広がるまでそれぞれ全員で日々に積み重ねた実践を発信していきます。
人は情報が多い中でも本質的に「何のためにやっているのか」を確認しているものです。情報過多になればなるほどに、本質や目的はわからないまま判断できなくなりますがもっとも親切なのはその本質のままに本物であるのなら情報は迷うことはありません。今は本質よりも大きく見せたり、本物のように誇張したりと、実際の現実とは異なったもので注意関心を引き付けようとするから広げることが増えています。TVCMや雑誌の広告などもそうですが、如何に広げるかに躍起になっています。
広がるというのは、自然発生的なものです。
これは植物を育てるのと育つこととの違いに似ています。育てるのは人為作為的であるのに対し、育つのは自然自発的です。同じく広げるのは人為作為的であり、広がるのは自然自発的です。
この広がるというのは、道が広がるということにも似ています。無理に広げても広がらないものもこの世にはあります。それが生き方や働き方などもそうです。しかし実践する人たちが豊かに仕合せに楽しく取り組んでいる姿があれば、自然に自分もそうありたいと同じ道に入ってくる人たちが増えてきます。
そうやって同じ道を歩む人たちが増えてくれば、自ずから道は踏み固められその道を歩む人が増えれば道が広がってきます。今では道路工事などで無理に道路を広げていますが、かつては道は自ずから人が歩くことで広がっていったのです。
どうしても人は焦ると無理に広げようとしたり、広がらないことに悲嘆したりしますが、広がるのを待つ心があれば理念を実践を真摯に取り組んでいくことができるように思います。
イエローハットの創業者、鍵山秀三郎さんが一人から掃除をはじめて今では日本だけではなく世界にその掃除道が広がっています。これなどはまさに広げることとは異なり、広がるということの意味を証明しています。その鍵山さんの座右の銘に「十年偉大なり、二十年襲るべし、三十年歴史なる」があります。広がるのを信じるのなら、継続を怠るなということです。まさに諺「継続は力なり」の本質です。
継続を怠けようとする時こそ、無理に広げようとするのが人間です。そうではなく、自分の実践を継続することで広がるのを待つという心境を大切に焦りが出るときこそ真摯に心を込めた日々の実践に回帰することのように思います。
引き続き、初心を忘れずに広がるのを楽しんで待つ心境で日々に豊かに取り組んでいきたいと思います。