伝主伝道

人は心を感じる生き物です。たとえばあるものを購入する時でも、それを誰から購入したいかというものがあります。どんな人がどんな思いで取り扱っているのか、その心を感じているとも言えます。その心を心のままに思いを合わせて伝えてくださるとき、人は心が感動するように思います。

先日も、畳を生産する人の心を畳を加工していく人がしっかりと受け止めてその心を合わせてそのものの思いを伝えてくださいました。するとその畳には思いが詰まっており、今でもその畳はキラキラと家の中を照らしています。これは何が照らされているのかといえば、その心によって空間を照らしているのです。

人の思いというものは、目には観えませんが思いや物語の中にいつまでも遺っています。何を買うかも大切ですが、誰から買うかというものはもっと大切なものです。何をするかも大切ですが、どのような思いであるかはもっと大切なのです。

ただそのものの商品説明を聞いても心は入ってきませんし、その人が思いを汲むことができない人であれば物語は生まれてきません。物語を聴いて感動するのが人間ですから、何よりも伝えることはその心の方なのです。

心が伝わると人は一生それを忘れません。また思いが入っていることを知れば、いつまでもその思いが残存していることに気づけます。心や思いが入るからこそ、自分の一挙手一投足に真心を籠める必要があるのです。電話一つ、挨拶一つ、おもてなし一つ、お祈りひとつ、そのものに心と思いを入れるのです。

心や思いはつながり、ご縁の中に確かに弘がっていきますからその伝播が伝承を育て子孫へと生き方が伝承されていきます。常に自分が伝主であることを忘れずに、心と思いをしっかりと感じて伝道していきたいと思います。