日本的な精神の醸成

先日、聴福庵で暮らしの体験をした高校生に体験して気づいたことを教えてもらうと改めて学び直すことがありました。

「滞在中ずっと季節を感じることができた」とか、「理屈抜きで手間暇をかけるということを肌で感じることできた」とか、「今まで泊まった高級旅館などと比べてどこよりもドキドキワクワクしっぱなしだった」とか、短い滞在時間で思っていた以上に深い体験をしてくれたのが分かり有難い気持ちになりました。

伝統的な日本の家屋には、昔からある日本的な場があります。それを主人の心得として家が喜ぶかどうかを重んじ、かつての暮らしに忠実に温故知新することで「古くても新しい」という境地を産み出すことができるように思います。

現在では、西洋から入ったきたものを新しいと呼びますが本来はかつての日本の文化が温故知新されて進化することで新しいと呼んでいたものです。かつての文化が取って代わられていることは決して新しいのではなく、「すげ代わった」だけで本来の新しいとは今の時代の子どもたちに伝承されその子どもたちがその時代の価値観に合わせて自ら文化を進化成長させるときにはじめて新しいと呼ぶのです。

今では衣食住すべてが、ほとんど西洋のものにすげ代わっています。そして西洋から入ってくるものを新しいと飛びつき経済も発展させているようですが独自の文化で進化させていかなければ本当の意味で世界の中での日本の発展はないと私は思います。

だからこそ、子どもたちには本物を遺し譲り、そこから学び、感性を磨き、伝統的な日本の精神を持ちつつも世界の一流と渡り合えるほどの柔軟性を身に着けて立派なリーダーを育成していく必要があります。そのリーダーになることを私は国際人と呼びます。

国際人はそれぞれの国の文化を正しく伝承し、それをものにして世界と対等に語り合うことができうる人材です。そこには単なる西洋の真似事ばかりで名誉や地位や知識ばかりを持って偉くなることではなく、日本の文化や自然に精通し、真理を語れ実践により実力を磨いている必要があります。

その修練の道場として、古民家と暮らしが教えるものはかけがえないない伝統的な暗黙知であり、その暗黙知を継承することで独自のアイデンティティが醸成されるように思います。

若く瑞々しい感性は、すぐに日本的な精神を取り戻していくという可能性を感じる3日間になりました。引き続き、真摯に子ども第一義の志のためにも暮らしの甦生に正対していきたいと思います。