世界というものはお互いに影響を与え合ってそれぞれの文化を高めていくものです。国の違いを超えて、また人種の違いを超えて、私たちはお互いから学び合い、水が万物を融和していくように一つのものになっていきます。
この文化を融和するというのは、振り子のように右へ左へと揺れ動く中でどこが中心であったのかを知ることに似ています。あるいは、螺旋のように円く回っているようで確かに上下に巡りながらどこが中心であったのかを知ることに似ています。
同じように行き来しているように見えても、それは単なる行き来ではなく其処には確かな文化の融和があるのです。歴史というものも等しく、私たちはいろいろなことを体験しその体験を融和しながら文化を創造し続けていきます。まさに諸行無常であり、万物流転しているのです。
この無常流転の仕組みは、中心に「いのち」の存在を感じるものです。
私たちはカタチがあるものにどうしても囚われがちですが、カタチがないものの中に中心があります。すべてが調和している場所、すべてのバランスを司っている空間、そこに全ての中心が存在しています。
この存在があるから無常流転が繰り返されるのであり、この存在の周りで私たちは様々な体験や邂逅を経てお互いに影響を与え続けてその中心を存続し続けるのです。
つまりその存在とは何か、それは心です。
文字通りこれは心が中であると書いて「中心」と読みます。
この心が無常流転の正体であり、私たちは心を中心にして万物が流転していることをはじめて自覚自悟することができるのです。
自己の対話や、世界との調和を繰り返していく中で私たちは心を育み続けていきます。自己とのバランスが崩れれば世界もまた不調和になります。調和と不調和もまた心のなせる業です。
禅の教え無門関第十九則に「平常是道」があります。
この公案の私なりの答えは、道は心の中であるということです。
引き続き、心を澄まし魂を磨き道を精進していきたいと思います。