先日、ある小学校で子どもたちに将来の夢について就きたい職業を書きなさいという課題があることを知りました。そこには、それぞれに将来自分が就きたい職業を書いて提出するものになっていて、子どもたちは経営コンサルタントやサッカー選手、ミュージシャンなど色々と書かれていました。
先生の課題のねらいまでは確認しておらずよくわかりませんが、今の職業が将来残ってという可能性が低くなっているのは世界情勢からもわかります。
グーグルの創業者で現CEOのラリー・ペイジ氏がファイナンシャル・タイムのインタビューの中で、「20年後、あなたが望もうが、望むまいが現在の仕事のほとんどが機械によって代行される。」 といいました。さらに必ず起こると断言していることは、人工知能の急激な発達により、現在日常で行われている仕事のほどんどをロボットが行うというもので、近い将来、10人中9人は今とは違う仕事をしているだろうと言っていました。
オックスフォード大学の調査でも、20年後には約47%の職業が機械によって代行されなくなっていると予見しています。
現実として、人工知能が出てきたことは間違いなく知識を使った労働に対して大きな変革をもたらします。人間が今までやってきたことを、力の部分だけではなく知識の部分、さらには智慧と呼ばれた部分にまで人工知能やロボットが肩代わりしていくという事実は、世界を席巻していくのは間違いないことでしょう。この良し悪しを人類が時間をかけてじっくり語り合うこともゆるされず、技術の急激な進歩はもはや誰にも止められません。
人間はまだその現実に心が着いてきておらず、多くの人はこの問題を直視しようとしていないことが多いように思います。しかし近い将来、10人中9人が他の仕事をしているという事実は簡単に予想されますから、あるかどうかわからない職業を求めるよりも如何に今の自分が自分らしく新しい分野を創造していくかと考える方が価値があるように私は思います。これを逆手にとって考えれば、機械や人工知能にはできない人間らしい新しい仕事を9人が開拓したということでもあるからです。
人工知能が出現しているすぐそこにある近未来において、果たしてどんな新しい仕事を創造していくか、子どもたちはそれを自由闊達に語り合い学び合い、未来を豊かに切り拓いていく存在であります。
だからこそ自分の実体験と人生経験で振り返り大切だと感じるのは、柔軟性や楽観性、また五感を磨いたり、遊び心を蓄えたり、さらには自国の独自の文化や、先人からの智慧に触れ、生き方を素直に学んだりすることが人工知能にはできない人間の持ち味の発掘になるように私は思うのです。
今の大人は現実を直視できないこともあるかもしれませんが、子どもたちは次の時代を生きていく存在です。その存在たちを信じて見守れるように、今、私たちが何をなすべきか、心とよく正対し向き合う必要があると私は思います。
自分のことばかりを考えて疲弊するのではなく、もっと豊かに未来に何を譲り遺していきたいかを語り合いそのために今を大切に遣っていくことが未来の子どもたちを助けることになるように思います。
先祖たちが何代もあとの子孫たちのために木を植え続けたように、私も今の時代の木を植え続けていきたいと思います。