世界にはそれぞれの風土に適した文化というものがあります。それはその風土で仕上がった環境が個性として生き物に顕現されてきたものとも言えます。その個性が風土そのものであるとき、私たちはそこに多様性を見出し、さらには世界に唯一の個性を実感するように思います。
現在、大量生産大量消費の経済優先の世界において画一化されていき風土の個性もまた消失して文化も失われていきますが本来はこの唯一の個性を発揮するからこそ国際的に必要になるわけでそれがなければ世界の中でユニークな自分を発揮していくことはできません。
白洲正子にこんな言葉があります。
「本当に国際的というのは、自分の国を、あるいは自分自身を知ることであり、外国語が巧くなることでも、外人の真似をすることでもない。」
自分自身を知るということは、言い換えるのならば風土を知るということです。その風土を知り、風土人であるからこそ世界でその風土の進化の過程が発展の原動力になっていきます。あらゆる生き物や道具は、文化を具備していますからそのものの値打ちや価値が分かってこそはじめて世界の同様に進化してきたものと渡り合うことができるのでしょう。
日本の文化というものは、私たちが今までどのような環境の中で育まれてここまで来たかというご縁の変遷のことです。そしてそれは景色や風景というようなものと一体になってどのように自然の姿そのままに暮らしを実現してきたかということです。
今は、渡来した文化に影響を受けかつての日本人としての個性や風土の文化を捨てて別の国の人のようにその国に存在していますが自分たちが何者であるのかを分からなくなった人たちが増えたように思います。自分が何者なのかを知るということは、国際人たる人物の入り口でありさらにはそこを掘り下げていくことが真の国際人になる道です。
最後に白洲正子の言葉です。
「日本の自然ほど多くのものが含まれているものはない。その中には、宗教も、美術も、歴史も、文学も、潜在している。」
もっとも日本の風土に長けた人物こそが、これからの時代で日本を代表して世界で活躍していくでしょう。引き続き、子どもたちに根がつながる暮らしを通して本物の日本人を伝承していくために命を懸けて文化事業に取り組んでいきたいと思います。