人間の思考には過去から考えて判断をするという習慣があります。過去の経験というものは時にはそれが自信になったり知恵になることもありますが、時としてはその過去の経験が枠や囚われになってしまい自分の考えを制限する材料になってしまいます。
その時の状況や環境は今とは異なっているのにも関わらず、過去にこうだったからと決めつけては先に答えを出してしまっています。そうなると未来への挑戦をするにしても、自分で決めた枠組みや先入観からのどうせ無理だろうに先に負けてしまい過去にしばられて未来を自由に創造することができなくなります。成功体験は自分の成功パターンとしての過去の栄光にしがみつきその同じパターンでしか成功しないと思い込んだり、失敗体験は自分の失敗パターンとしてそこを避けて行動することで視野が狭くなり行動も縮こまってしまいます。
そうならないようにするにはゼロベースで考える訓練が必要です。これは過去のことに囚われず、今までの先入観や枠を一度すべてご破算にしてもしも今からやるとしたらどうするか、もしも何もないところから挑戦するのであれば何を目的にしてどこまでいくかという目標を自由に考えるところから始める訓練です。過去や柵に囚われている姿はもっとも目的から離れた姿なのです。
自分はきっとこうだと勝手に思い込んでは、自分の収まりのいいところに甘んじていても未来が変わることはありません。そうではなく、真っ新の状態、ゼロベースで過去から考えず、初心や目的、理念から自由に発想して取り組んでいく中で過去が刷新されていきます。
畢竟、人生を変えるというのは過去を刷新するということです。過去がどうだったかが問題ではなく、今ここがすべてだと思い新しい自分になっていくことです。それは自分の中で良し悪しを決めないことであり、如何に目的に対して自分の方を変化させていくかということです。言い換えるのなら人生の挑戦者であり続ける訓練なのです。
本来やりたかったことをやったり、本当に願うことに取り組むためには無条件で自分がやりたいことを自分の中から見出す必要があります。そのためには、自分をゼロにする努力、つまりは自分の先入観や過去や偏見をまずは捨ててて目的達成のためだけに集中してみることです。
それは決して今流行りのリセット願望のように自分にとって都合の悪い過去をなかったことにしたり、自分の理想の状態以外は認めずに消し去ってしまおうとしたりするのではなく、自分というものに固執せずに目的のために自分を変えていこうとする挑戦によって新しい自分に出会い続けることが人生を本当の意味で変えていくということです。
ゼロベースで生きるというのは、常に目的や初心や理念に合わせて新しい自分に出会い続ける挑戦者であるということです。子どもたちにも諦めずに自分を大切に生きていく手本が示していけるように挑戦を続けていきたいと思います。