先日、人吉にある伝統の鋸鍛冶師とお話する機会がありました。今回は会社のクルーも一緒に連れていっていたので、いろいろと見学や説明をお願いしてお話いただきました。
お話が終わってあるクルーに感想を聴くと、「本当に好きなのが伝わってきた、この仕事が楽しく誇りがあるとわかりました」とありました。私はここに善い仕事の秘訣があるのではないかと感じます。
仕事の質というものを考えるとき、いろいろと言う人がいますが「好きであること、楽しいこと、誇りがあること」は何よりも重要な基準であると私は思います。もちろん客観的にその正確さや完成度なども評価の基準になるかもしれませんが、それは大量生産の機械やロボットでも実現できるものです。
心を籠めた仕事は、その心を籠めた人の熱量が入っています。その熱量は有形無形に関わらず心がその質を持っています。古語に好きこそものの上手なれがありますが、好きな人はなんでも楽しんでそのものを深めていきます。そして楽しんで深めてきたものには次第に誇りが着いてきます。この時の誇りとは、尊敬であり、感動であり、感謝であり、心の機微が入ってくるのです。
先日、ある保育園の研修でも私は「保育の質とは何か、それは楽しんで保育をすることです」を話をしました。このなんでも楽しむという能力こそ、本来の能力の本質であり、決してできるかできないかという能力刷り込みのものではありません。
人は自利に走れば、競争ばかりし自分のことばかりを何とかしようと頑張ります。しかし利他にいけば、もっと楽しくできるか、もっと面白くできないかと、協働しながらみんなことを考えて自然体になっていきます。つまりはみんなが喜び自分が喜び、みんなが仕合せになることを目指している生き方をしている人はなんでも楽しくなってしまうのです。
自分が喜ぶかというのは、「好きなことにしているか、楽しいことにしているか、誇りをもって取り組んでいるか」というチェックをすれば観えてきます。いい仕事ができて仕合せだと感じている人は、いつも好循環の輪によって相乗効果を発揮して周囲の人たちの発展に貢献していくことができるように思います。
好きで居続ける力というのは、楽しくし続ける力、そして誇りを持ち続ける力になるのです。
子どもたちが憧れる保育や働き方は、やっぱり自分自身が好きで楽しく明るく清らかに、そして素直に謙虚に感謝感動、誇りと共に歩んでいくときに発揮されていきます。どんな困難も試練も苦難も、「創意工夫の智慧」に転換して遣り切っていけば悔いのないご縁に結ばれるようにも思います。
生き方の転換はご縁との出会いが切っ掛けになりますから、自分自身が楽しく豊かに誇りをもって歩み続けていきたいと思います。