昨日、ある方から「貴社は効率優先、結果が先ではない、長いスパンで物事を進めているいい会社だ」と評価されました。その方は、長年、大企業のプロダクトデザインをなさっていた方で家電製品や商品全体のユニバーサルデザインなども手掛けておられた方です。
少し前の日本は、すぐに結果だけを優先する成果主義をとっていました。しかしこの方法はどうしても短期的な成果だけに注目されるため、長い目で観て判断されるようなことは後回しになってきたように思います。
本来の仕事の質は、長い目で観た時にどれだけの価値があるかという経年変化の中で顕現していくものです。私が取り組んでいる古民家甦生もそうですが、かつて日本の先祖たちが発明した様々な道具や商品は経年変化する中で智慧は顕現してきます。
現在は一時的に無価値のようになった古いものが増えていますが、実際には何百年もむかしから改良されてきた自然を活用する知恵に溢れているものばかりです。現在価値が下がったのは、決してその道具が悪いのではなく私たちの価値観が自然から反するものになり、自然を活かそうとするよりも、自然を管理しようという人工的なものこそが価値があるという考え方に転換されただけです。
そのうち、自然を活用することが持続可能な社會の実現において何よりも重要だと気づけば日本人の先祖の生み出した道具や仕組みに回帰していくはずです。その時に、それが遺っていなかった、すべて失われたでは取り返しがつかないのです。
人間の価値観というのは時代時代で変化します。しかし本質や本流は変わることはありません。その中で短期的に流行があってある価値観が横行して飲み込んだとしても、自然がバランスを取るように必ず揺り戻しがあるのです。地球も暑くなれば、次は冷えるというようにそれが激しくなれば激しく揺り戻します。
価値観も同様に時間の経過とともに揺れ戻していきます。その際にどこに回帰するのか、どこを原点として間をとっておくのか、それは常に私たちは自分たちでバランスを掴んでいる必要があるのです。そのバランスを掴むためにも、本質を深め続けていく必要があります。物事の本質を深めていけば、自ずから原点回帰していくからです。
私たちは理念や初心があり、本質的に何をすることがもっとも子どものためになるのか、子孫のためになるのかを考えています。そこから、何を優先することが本質なのかと考えるようにしています。
質を高めるというのは、本質を極めるということです。
だからこそプロセスを大切にし、そのプロセスの中で出てきた問に対して改善を続けてそれを味わいながら成長していこうとしています。まさに非効率な生き方ですが、本質を守る生き方が人類や世界に必要になるときが来るはずです。
いつになったらという思いもありますが、粛々と初心の振り返りと脚下の実践を楽しんでいきたいと思います。