昨日、東京では巨大な稲妻や稲光が何度もあり夜空は轟音と眩い光で埋め尽くされました。ベランダにある稲を観ながら、なぜむかしの人は雷に稲の字を当てたのだろうかと考えに耽っていました。少し深めてみようと思います。
ウィキペディアフリー百科事典などを読むと「稲妻(いなずま)は、雷そのものの事を稲妻とも呼び、雷の光を稲光(いなびかり)、雷光と呼ぶ。稲妻は秋の季語であるとあります。そして稲妻・稲光の語源は日本では稲が開花し結実する旧暦(太陰暦)の夏から秋のはじめにかけて、雨に伴い雷がよく発生するため、稲穂は雷に感光することで実るという俗信が生まれた。そこから雷を稲と関連付けて、稲の「つま」すなわち「いなづま」(日本の古語では「つま」は男女を問わず配偶者の意味)、稲光と呼ぶようになったといわれている。」とあります。
稲が結実するタイミングで稲光が出れば稲を妊娠させることができ多くの実をつけるという洞察は先人たちが見出してきたことです。
このある高校生とは松江市の高校性・池田圭佑さんという方で宮沢賢治が教員時代に『カミナリと農作物の出来具合について何らかの関係がある』と書いてあった書物を読み興味を持ったといいます。
そこで、学校にある実験用の放電装置を使い、落雷と同様の状態を作りだし、カイワレダイコンの成長の様子を調べたところ、種子に50秒間放電してから育てた種子は、放電しなかった種子に比べて成長が約2倍も速くなることを発見しました。さらには育てるための水道水にも、放電させた水を使ったところ、芽の伸びが2倍にとなる結果が得られたんだそうです。
なぜそのような結果となるのか、放電した水を分析したところ、通常の水に比べて『窒素』の量が1.5倍になっていることを発見しました。窒素は肥料の3要素の一つ。これが成長を促したことを突き止め、この結果を『科学シンポジウム』で発表し、なんと最優秀賞を受賞したといいます。
むかしの人たちが洞察した自然の智慧を科学で証明するということは素晴らしい偉業だとも思います。単なる迷信と今では何でも目に見えないものは否定されますが、むかしの人たちの洞察力や観察力は今の科学でも証明できないほど精密であり正確なものもあるのです。
古来からの日本語や神話をはじめ各地の伝承には、その意味が籠められており少し疑問に思えばそれが非常に価値のある言葉や物語であることに気づきます。いくら科学が進歩しても、自然の一部しかそれを証明できません。しかし現代のように科学の方ばかりを信じて自然を信じなくなってきている世の中においては改めてお互いに畏敬の念をもって自然と科学を理解していく必要があるように思います。
むかしの人たちの智慧が未来の子どもたちに伝承していけるように、遺っているものを集めてそれを譲り渡していきたいと思います。