人間は体調を崩したり病を得ると如何に健康が有難いものかに気づきます。当たり前だと思っていたことができなくなるとき、当たり前ではないことに気づく、これが感謝の本質かもしれません。この当たり前になるというのは、感謝する気持ちが失われていくからです。
自分を中心に物事をとらえ、軸足がいつも私欲の方になってしまうと感謝の気持ちがなくなって欲望ばかりが増えていきます。この欲望とのバランスが崩れるとき、何かしらの事件が発生して人間は当たり前ではないことに気づいて感謝に回帰するのです。
言い換えるのなら、自己防衛本能というものかもしれませんが自分が欲望に呑まれないように敢えて謙虚であるようにと自分にとって都合が悪いようなことが発生し反省を促してくださるのです。自然治癒の仕組みも似ていて、病気と健康は自分自身が感謝を忘れていないかというメッセージをいただくのです。
病気になったり体調を崩してすぐに気づくのは、自分のやりたいことばかりに体を酷使し、周囲に迷惑をかけていることへの配慮もなくし、まるで物事を自分が動かしているかのように自分が傲慢になっていることに気づきます。
傲慢がさらに別の傲慢を発生し、その連鎖はスピードを上げて増大していくのです。その連鎖にブレーキをかけ、傲慢を中和して謙虚になろうとするのが自然の本能であり、人間の素直さのように思います。
有難いことに素直な人は、傲慢になるまえに何かしらのキッカケがあって謙虚になります。それを繰り返す中で謙虚さを学び、何度も繰り返し体験を経ることでさらに謙虚さが身についてきます。
その謙虚さとは、周囲の御蔭様であることに気づいたり、いつも陰ひなたから支えてくださっている存在に感謝できたり、当たり前ではない恵まれている偉大な御恩に気づけたりと、そういう日々を過ごしていくことができるようになるのです。
決して病になることや体調が崩れることが悪なのではなく、感謝が足りない自分に反省できるかということを学び福に転じていくことで人間が磨かれていくように思います。自然の与えてくださっている様々なご縁や機縁は、いつも真心で私たち人間を育ててくださっています。
足るを知り「ありがとうございます、いつもおかげさまでたすかっています」という感謝の気持ちを忘れずに、メッセージを受け取りながら真心の一日を積み重ねていきたいと思います。