自己発奮と自己受容

向上心というのは成長にとっては必要なものです。人はもっともっとと自分をより高みへと運ぼうとして努力をすることで新たな技術や才能を開花して実力をつけていくものです。私も向上心が高く、なんでもやってみたいという好奇心と、やるからにはある高みまで到達してみたいという向上心があります。

しかし時として、それが欲望になってしまえば足元をすくわれて転がってしまうことがあります。言い換えれば、足るを知らずにできないことにまで手を出せばそのことによってかえって無理なことばかりを選択してしまうからです。

そういう時は一つ一つを丁寧に、分を弁えていくことで謙虚さに気づき今の実力に相応しい努力に換えていくことができます。だからといって向上心がなければうまくいくということではなく、向上心と謙虚さが共存している状態でなければ物事を正しく進めていくことができないのです。

そのためにはその目的はそもそも何のためにやるのかということを忘れず、目的に対して自我の執着をしないということを実現させていく必要があります。目的や初心、理念が実現するのならそれ以外はこだわらない、柔軟に融通無碍に対応していくという姿勢がいるのです。

自然体や素直さというのは、自分自身への囚われが少ない状態のことをいいます。そのためにはあるがままの自分を受け容れ、自分の弱さもまた認める必要があります。向上心は、理想に対しての自己発奮ですが謙虚さは自分の甘さや弱さ、現実を受け容れる自己受容が必要になるのです。

本気ならなんでもできると教えられてきましたが、本気ならなんでも受け容れることができるとは教わってはこないものです。覚悟を決めるというのは、引き受ける、受け止める、受け容れるといった丸ごと受容の境地を得ているということでしょう。

今を大切にして自分自身と正対して、自己発奮と自己受容に取り組んでいきたいと思います。