人間は生きていく上でストレスというものを持っています。このストレスの意味は、生活上の圧力および、それを感じたときの感覚であるといいます。語源は苦痛や苦悩を意味する distress が短くなった単語とされています。
このストレスは、生きていく上で誰もが持っているものですが使い方次第では健康に害があるものになったり、もしくは向上していくための栄養分になったりもします。
最近、アメリカではこのストレスの研究が進み「ストレスが健康に害があると信じていた人」のみが死亡率が高かったことが証明されています。これは『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』(ケリー・マクゴニガル著)に記されています。
スタンフォード大では他にも子ザルを母親から引き離しストレスを与える実験をしました。すると母親から引き離された子ザルは、過保護に育てられた子ザルより物怖じしなくなり、活発に行動する事がわかったといいます。それは母親から引き離された子ザルが物怖じしなくなった理由は、ストレスが脳の前頭前野を発達させたためでした。前頭前野は不安を抑えたりする働きがあり、実際にはストレスはその人の生きる力を育てる側面があるということです。
また他にもストレスはむしろない方が危ないということが研究で分かったといいます。たとえば、退職後のリラックスした生活はかえってうつ病を発症するリスクが40%も高くなるともいいます。
ストレスに対してもっとも問題なのは、アメリカで3万人を対象にした調査によると、ストレスは体に悪いと思い込むだけで死亡リスクが43%もアップしたということです。この悪く思い込むといったことがストレスを一方的に悪いものにしているのかもしれません。この悪く思い込んだり決めつけたりすることは健康を著しく害するのは、人間はネガティブになり不安や心配事が増えるとストレスもまた悪者になってしまうからです。正義か悪かと決めつけるとどうしてもバランスが崩れます。ケリー教授は、かえってその思い込みや決めつけを活用すればいいと「マインドセット」という仕組みも提案しています。
人間は生きているうえで必ずストレスがありますから、それをどう活かすか、どう上手く付き合うかが生きていく上で大切な要素になります。このマインドセットの中でケリー教授はストレスのことを悪いものと決めつけるのではなく善いものもあると転換し、「ストレスと友達になればいい」とも言います。なぜならストレスで出るホルモン物質のオキシトシンは、かえって生きていく上でも大切なものになるからだそうです。他にもアドレナリンという物質もありますが、これも集中力を高め五感を研ぎ澄ます力があるともいいます。ストレスを悪者にするのではなく、ストレスで得られるものがあるという発想。単に白か黒かではなく、如何に白も黒も両方活かすかという考え方には日本的な「ないものねだりをしない」考え方と似ていてとても共感します。
先日の逆手塾の講師の話にもあったように、マイナスなものも見方を変えれば使い道があるという話にも共通することを思い出しました。
私も体調を崩したり、感情や心が乱れるとストレスをすぐに悪者として決めつけてしまいます。それはストレスだけではなく、身の回りのものをなんでも悪者にしてしまったりもします。物事には必ず、善い側面と悪い側面が同時に発生しますから如何に善い方を観て悪い方をカバーするか、もしくは悪い方も活用するかというのはこれからの時代の子どもたちへの生き方の模範になるかもしれません。
自分自身に起きることを何のメッセージかと受け止め、学びを深める材料にしていきたいと思います。