人間は自分の前提になっている「思い」に気づいているかどうかはとても重要であるように思います。この「思い」が、現実を変える唯一のものであるからです。
そもそも現実とは自然と同じく中立で中庸です。それはこちらの都合で変えられるものではありません。しかし現実は変わらないからこそ、自分が現実に対する思い込みや刷り込みを変えることができるのなら現実は変わって見えるものです。
ある人は、毎日仕事をするのが楽しいと感じ、またある人は毎日仕事をするのが苦痛だと感じる。同じ現実であったとしても、その前提になっている「思い」次第でまったくその人生が変わっていくのです。
ある人はせっかく奇跡のように生まれてきたのだから仕合せに楽しく生きようという「思い」がある人は現実は歓びの連続です。その逆に、何でも当たり前になって不平不満ばかりの「思い」がある人は苦痛の連続です。しかしそれもまた「思い」によって感じ方が異なるのです。
この「思い」をどのように手入れし続けるか、ここに人生を左右する鍵があるように思います。ないものねだりをするとすぐにこの「思い」はネガティブになります。あるものに感謝してすべてが善いことになると信じて生きている人は「思い」が楽観的になり幸福を感じています。
つまり人間は、生き方によってしか現実を変えていけず素直になることでそれを維持していくことができるということになります。では素直にならないのはなぜか、それがエゴや私心、自分の思い通りにならない不満や不安から発生するのは明白です。
素直になるというのは、本来の生まれてきた歓び、人生の仕合せをあるがままに嬉しい楽しい仕合せと感じることです。これを天国言葉と言った人もいましたが、松下幸之助さんは「自分は運がいい」という言い方もしました。
運が善い人はどんな時も「思い」が素直なままです。言い換えれば、素直だからこそ運がいいのです。自分がここまで生きてこれたことへの感謝や、多くのご先祖様たちが助けてくださったことへの感謝、今の人生が丸ごとで素晴らしいことになっているということへの感謝など、有り余る感謝の「思い」で満たされているからです。
感謝で「思い」を満たしている人は、邪念や刷り込みを受け難いように思います。「思い」をネガティブの方へ向けるか、その「思い」を感謝に向けるか。「思い」の手入れこそが省我の実践なのかもしれません。
日々我が身を省みる・・・子どもたちの一度しかない人生の思いを大切に守り続けていきたいと思います。