人間には二通りの生き方があります。一つは、誰かのせいでと他人のせいにしてしまう生き方。もう一つは、誰かの御蔭様でと他人の御蔭にしてしまう生き方です。この二通りの生き方は、自分の人生の幸福に大きな作用を働くだけでなく、人間関係においても大きな影響を与えます。
たとえば、事物を誰かのせいやもしくは自分のせいだと責めることばかりに躍起になっている意識は変化に対応できる考え方ではありません。変化に対応するには、受け容れる力が必要になりますから現実から逃れるために何かのせいにしても物事は前に進むことがありません。
その逆に、事物はすべて御蔭様という考え方を持つ人は自他をせめず自分に矢印を向けて現実をあるがままに受け止め、変化というものを受け容れていきます。これは人間が感謝の時が変化に対応しやすく、自分の思い通りであることが当たり前と思い違いをする時が変化に対応できなくなるということです。
人間は生きていれば、日々に小さなことから大きなことまで変化に遭遇しストレスを抱えます。そのストレスは、無理をして取り除くためにエネルギーを使い切るのではなくストレスを受け容れて立ち直る方へと転じた方が幸福を感じます。私はそれを「福に転じる」といいますが、何でも福に転じる人はすべての出来事を前向きに捉えて変化そのものを楽しんでいくことができるのです。
変化を楽しむ力というものは、一つは好奇心があると思います。大変なことがあっても、面白そうと思える意識、めんどくさいことがあっても、真心を使えるチャンスだと思える意識、その人の生き方次第で現実の受け止め方が全く異なり変化のスピードも変わっていくのです。
自分の思い通りいくことが、人生にとって良いことだと思っている人と、自分の思い通りではないけれど思った以上のことをいただいていると思っている人では、人生行路の歩み方、感じ方が異なります。
人間は誰もが幸せになろうとしますが、仕合せで居続けるには変化し続けている必要があります。それはどんな世の中や周囲が変わっても、自分がそれに順応していつも感謝のままで居続けられる状態、御蔭様を感じ続けられる状態、その心境を現実と一致させていく努力が必要になると感じるからです。
謙虚さというものは、人生にもっとも大きな影響を持つものです。同様に傲慢というものもまた、人生に大きな影響を与えます。生きていれば、人間は手入れを怠り掃除をしなくなりエゴの穢れのようなものがこびりついていきます。日々にそのエゴを増大し穢れを払うために様々な感謝の工夫を仕事にまで昇華できた人たちがこの世に最幸の組織を実現させていきます。
子どもたちが憧れる生き方と働き方を実現するために、職場の文化が世界を変えていくことを信じてもう一歩深く踏み込み、腰を据えて挑戦を続けていきたいと思います。