何かが育つというのは永い時間が必要になります。今の自分が育つのでさえ人類の永さで計れば大変な時間をかけてここまで成長してきたのです。遺伝子の中には、これまでに育ってきた記憶が記録として刻まれています。
あらゆる病気や災害、そして事故、戦争も平和もすべて体験し、両親がその遺伝子を繋ぎまた子孫へと譲り渡しここまで生き延びてきました。つまりは育ってきた時間を持っているのが今の私たちということになります。
この育つのは、人間だけではなくあらゆる生きものは育っていきます。時折、あらゆる自然環境の変化に順応するために生き方を変え、変身し、その環境や風土に適応していきます。今の私たちの育った姿は、過去の歴史の中で変化してきた変容の姿そのものなのです。
そしてそれが多様性であり、私たちの個性を彩ります。その個性は、歴史が育ててきたものです。この個性を活かすのは、どのような環境の変化においてもみんなで力を合わせて生き残ろうとしたいのちの叡智です。
個というものを全体と捉えるのなら、私たちは全体としての個になります。地球が一つの生命体だと定義するのなら、私たちのいのちはその地球の一部です。地球が多様化の中で豊かに充実するのは、それがいのちの仕組みです。
細胞が60兆、それぞれに偉大な働きがあります。まさにその働きは地球のいのちの姿そのものです。何が自分の体の中に育っているのか、自分が如何に育った存在なのかを考えることが、教育というものの本質や本義の根本に触れることになるのではないかと私は思います。
引きつづき子どもたちのためにも、育つ環境を見守るために社業に邁進していきたいと思います。