智慧の伝承

智慧の伝承というものがあります。これはすべてのいのちは生まれた環境において自然に知識ではないものが丸ごと次世代に受け継がれていくという仕組みのことです。

私たちは別に誰かに教育をされなかったとしても、言葉や知識を覚えなくても、元来いのちの維持に必要な智慧を自然から感得感受しているものです。

例えば、心臓の動かし方やまばたきの仕方、手足の動かし方など生まれながらに知識がなくてもそれができるようになっています。他にも、親の存在や周囲の環境との相互作用においてそれを参考にしながら自分の中に情報が伝導されていくものです。

誰かが教えなくても自ら主体的に直観的に自然を智慧を伝承していくのです。

今の時代は情報化が進んだこともあり誰もが知識ばかりを探しては、智慧の偉大さを大切にしない傾向が強いような気がしています。知識というものは、誰かが言語化して可視化したものですがそれは過去に発見されたその時代時代の組み合わせによる智慧を表現したものの一つです。

生きものはすべて自然を観ては智慧を学ぶ、そこには過去にはない自由な発想があり未来の可能性を求めているいのちの成長があります。そのようにして何万年も何千年もむかしから私たちは環境に適応しながらいのちを生きながらえて繋いでくることができたのです。

現代のように知識が優勢の世の中では、智慧はますます重宝されなくなってきています。その方が現実的に理論で理解でき、評価され、周りも納得しやすいからでしょう。しかし、智慧こそ本来の生きることそのものに直結しており私たちは直観的に智慧を働かせてこの地球と一体になって暮らしているとも言えます。私たちは知識も智慧もバランスよく活かすことで本来の真実という智慧を学ぶことができたのです。そしてそれがむかしから私たちの先祖が大切にしてきた「暮らしの智慧」だったのです。私が日本の民家の民族伝承を用いて、様々な環境の仕組みや風土を創造するのも元の理由はこの暮らしの智慧と伝承のためなのです。それを古来は、徳といい、道とも呼びました。

子どもたちに最幸の環境を残し譲るためにも教育環境が大切です。そのためにも今を生きる私たちが智慧を感得感受するために自らの好奇心を最大限に働かせ自然から学び、自然と共に歩み、自然の智慧をこの世の中に伝道していくことで智慧そのものの姿に近づいていく必要があります。

まさにこの生き方が、私の感受感得する自然かんながらの道です。

引き続き、子どもたちに備わっている智慧を引き出せるような環境を創造し、新しい時代の風土を道徳や経済を混然一体に組み合わせ智慧のままに子どもを見守る仕組みを伝道していきたいと思います。