先日、聴福庵の玄関に「慈姑(くわい)」を桶鉢にいれて飾りました。桶はそのままでは水を溜めるので一般的な植物では根腐れしてしまいます。しかしこの慈姑は、もともと水生多年草であることから水を溜めていた方がいい桶の性質との相性がよく元気に芽が出ています。
このくわいは、縁起がよい植物として古来から愛されてきました。特に、むかしからおせち料理に使われ丸い実の部分(塊茎)から数cmの芽が伸びていてその「芽(目)が出る」という姿から縁起物とされてきたのです。くわいという名前は芽が鍬に似ていることが鍬芋とも呼ばれたそうです。
他にも縁起のよさではこのオモダカは「勝ち草」と呼ばれることもあり、戦国武将や大名家でオモダカの葉を意匠化した沢瀉紋が家紋として使用されてきました。豊臣氏や木下氏、福島氏があり、毛利氏も副紋として使用したともいいます。それに徳川家譜代の家臣水野氏、一般的に広まった家紋としての十大家紋の一つとされます。
慈姑の歴史は、もともとは中国産で日本へは平安時代には伝わっていたようです。平安時代の書物「本草和名」には「烏芋(くわい)」の項で「於毛多加(おもだか)」「久呂久和為(くろくわい)」と記されています。また貝原益軒の「菜譜」にも、くわいの栽培方法や食べ方についての紹介があります。
日本は湿地帯が多いため、この水生植物も多様にあります。日本人は植物を様々な縁起物として大切に尊敬し扱ってきました。今回、聴福庵の玄関の隣に飾ったこの慈姑もまた芽が出てきたという縁起を顕すものです。
これからどのような展開が待っているのか、子どもたちがすくすくと幸せにつながる子縁の社會の実現に向けてとても楽しみにしています。