復古起新

日本では少子化や過疎化の影響を受け、廃校になるところが増えてきています。さらに、全国の自治体で学校の統廃合を進めた結果、ますます廃校が増えています。

私の郷里にも、数年の放置でまるでお化け屋敷のように廃墟になってしまっている廃校がカラスをはじめ野生動物の巣になっていたりします。解体費用がかさむことと、使い道がないことからそのまま放置されているのでしょうが空き家問題と共にこれから解決していかなければならない重要な課題の一つです。

文部科学省の「文部科学統計要覧」によると、1989年(平成元年)の小学生の数は約960万人、中学生の数は約561万人だったが、2017年(平成29年)には小学生は約3分の2の約644万人、中学生は約4割減の約333万人まで減っているといいます。そして、2002年度から2015年度までの14年間に全国で6811校、年平均486.5校が廃校になっています。つまり、これからも年間500校近い学校の廃校が進んでいくことになるのです。しかし建物も壊れないように頑丈に建てられているため、解体する費用も多大な資金が必要になります。そのため何とか廃校を活用しようと、文部科学省が「みんなの廃校」プロジェクトというものを推進して活用が広がっているとも言います。

具体的には、オフィス・工場、児童・高齢者などのための福祉施設、アート創造拠点などの文化施設、体験学習施設・宿泊施設など、大学・専門学校などの教育施設、特産品販売・加工施設などで利用されています。

空き家問題も同様ですが、その場所が時代に合わなくなり使われなくなったものをどう温故知新するかという問題は時代の変化と共についてくる問題です。人が集まらなくなった場所に、また人を集めるのですから目的が明確でなければなりません。

何のためにその場所を使うのか、つまり目的を定めその価値を磨いていかなければその場所の甦生は難しいのです。

むかしは「見立て」といって、あるものを別のものに見立てて蘇らせる智慧が先人にはありました。今の時代のように単一消費のみの一方通行の世の中ではそのアイデアも出にくくなってきているかもしれません。現在の経済合理性の資本主義の世の中では、再利用ということもその経済価値観の中で判断しますからまた消費されて同じように空き家や廃校になっていくのです。

私が取り組む、復古起新は「磨く」ことに力を入れますから根本的な価値観を根底から変えてしまう仕組みです。引き続き、子どもたちに大切な文化が伝承されていくように実践を積み重ねていきたいと思います。