東京の渋谷に20年ほど住みながら福岡の故郷の行き来を毎月何度もしているとわかってくることがたくさんあります。
都会に長く住めば住むほどに、故郷の良さが分かってきます。最初は都会に憧れていてもそのうち地元の住みやすさや風土美の美しさに心が惹かれていきます。都会か否かかという比較がここでしたいわけではなく、それぞれの良さが分かってくるのです。
実際に地元に帰ってくると、お店などはみんな都会にあるような新しいもので似たようなものを真似してはそこで流行っています。都会では当たり前であることが田舎ではないので地元ではきっと新鮮なのでしょう。フランチャイズなどの大手企業の戦略もありますからより一層その傾向が強くなっています。そこではもともとの地元の個性よりも、都会的な似たような店舗デザインや料理が流行っています。
東京だと、日本中のあちこちの料理が食べられ地方のイメージの店舗デザインが多種多様にあります。さらには、田舎でしかないような建物を移設したり、自然物で装飾したりとこだわりがあります。おかしな話ですが本来は田舎や地元では当たり前のものを都会では採用し、逆に田舎では都会にしかないようなものを採用しているのです。
先日も東京から来たお客様を地元で最近人気で流行っているというお店に案内しましたが食べ終わったあとの感想で「表参道にありそう」とか「銀座に似た店があったよ」などを言われました。それだったら都会でいった店の方がいいという具合です。
わざわざ都会から田舎に来てまで都会的なものを体験しても都会の人は喜びません。同時にいくら都会で田舎でしかできないような自然の体験をしたとしても田舎の大自然には敵いません。
私は都会と地元を行き来していますから、都会にしかない良さ、地元にしかない良さも知っています。しかし実際にここまで都会と地元が混ざり合ってくると個性がなくなってきていることがわかります。日本人は個性をなくしていくことばかりにすべてをつぎ込んでいきますがもっと自分を信じて尖っていくべきです。世界ではそういう尖った人たちがその地域の魅力を引き出して掘り起こしていくからです。個性とはそのように磨かなければ出てこないのです。
そして明らかな個性がなければ、都会でも地元でも魅力はなくなります。どのように個性を磨くか、それが都会か地元かではなく大切な要素になるのです。子どもたちも同様に、都会的か地元的かではなく個性を磨き個性を発揮することで良さを出していくのが本来の魅力の発掘です。
引き続き、地元でオリジナリティを追求し風土の魅力を最大限に引き出していきたいと思います。