思慮の神様

場の道場BAに、間もなく神社を建立してお祀りはじます。今回、勧請する神様は八意思兼神です。この神様は日本神話に出てくる天の岩戸・国譲り・天孫降臨と言った重大な局面で知恵を絞り、解決してゆく重要な神様でもあり情報技術の神様でもあります。

また、八意思兼神のもう一つの表記「思金神」という名前から大工の道具の曲尺(カネジャク)とつながり、建築技術と匠のご利益・御神徳もあるといわれます。現代でも伝統的な建築現場の仕事始めの日に行われる手斧初(ちょうなはじめ)という儀式では、この八意思兼神を祀ります。

神道では自然が神様になっていることがほとんどですが、この神様は「知恵」そのものを御神体としています。この八意思は「あらゆる問題を兼ねて思慮る」という意味で江戸時代の本居宣長は、その古事記伝で、思金(思兼)という語については「多くの人の思慮る(おもんばかる)智を一つの心に兼持てる意なり」と記しています。

この神様の知恵は、神話を紐解くと、如何に世の中を明白にするか、そして如何に全体が福になるかという知恵を出されていたのがよくわかります。

まさに八百万の神々すべてを思慮する神様ということでしょう。

私が実践する一円観にも似ていて、とても深いご縁を感じます。自然には様々ないのちがありそのいのちをみんなが享受しあい共生して暮らしています。その暮らしが、永遠に健やかであるようにあらゆる問題を「慮る」ことで解決していくというのは大切な心構えのようにも感じます。

周りをよく見渡し見通す知恵は、まさに自然循環そのものの仕組みであり知恵の姿です。このご縁をさらに結び直し、子どもたちに明るい未来を譲り遺せるようにまごころで例大祭を執り行っていきたいと思います。