組織の醸成

世の中にはつなぎ役という存在がいます。これは野球では、よく見かけるシーンでつなぎ役がいることではじめて守備も攻勢も成り立ちます。もちろん、ホームランばかり打つ打者と、無失点に抑えるピッチャーがいればいいのですがそれでは他のチームメイトは必要なくなります。

つまり実際には、みんなで「つなぎ役」をすることによってはじめてこのチームや組織は成り立っているのです。そのつなぎ役は、一見地味ですがとても大切なことでみんながワンチームになるための触媒でもあるのです。

この触媒の人の価値というのは、大変偉大なものでいつも全体の事やチームのことを考えて動いています。例えば、経営と社員などと分かれないように、もしくは仕事やプロジェクトが分かれないようにと、常に意識をしてつなぎ合わせています。

組織がもしも自律分散で多様な価値観が尊重されて全員経営のようなものであるのなら、余計にこの「つなぎ役」という意識は重要になると私は思います。なぜなら、主体性というものは自分から結ぼう、繋がろうという意識を持っている人にのみ存在する言葉だからです。

一斉画一の教育を受けてきた自分たちは、主体性というと自分勝手なことになりやすく全体快適であるよりも自分快適に走るものです。アメリカファーストのように、つながらずに競い続けていたらそのうち孤立して主体性が失われていきます。

本来、みんながつながっているところで仕事は存在し、また結びつくからこそ新しい事業は産まれ、そしてみんなが細胞のように新陳代謝をして協力し合うからこそ生命はこの世で活動ができます。

組織というものの原型は、細胞そのものとこの身体のことでありバラバラに観えて実は一つにまとまって活動をする。健康な状態というのは、まさにこの全体がバランスよく整い、磨き続ける状態になっていることをいうのです。

だからこそ、大切なのはそれぞれの結びつきを強くしていくことだと私は思います。

地味で目立たないからとその仕事は価値がないとするのは、あまりにも目先のことや自分勝手な意識が高いからです。本来の仕事は、縁の下の力持ちによって支えられ、それは一人一人のみんなの意識の中にこそあるのです。

謙虚に磨き合う組織が善いチームが多いのは、そのつなぎ役の素晴らしさの価値に気づいているからだと思います。子どもたちが憧れるような組織を醸成していきたいと思います。