人生の中では正念場というものが何回も訪れます。その正念場とは、まさにその言葉通りで「念」の「場」にするということです、念は今の心と書きますから、今に集中するということです。
人はあれこれと思い悩んでいると、念が入りません。念が入らないと念が籠らないと心が入りません。心を入れるというのは、頭で考えるのではなくまさに自分の初心を忘れないままで実践を積むということです。
人はすぐに初心を忘れます。脳が働くからこそ初心を思い出せなくなっていくのです。特に感情が揺さぶられれば、悩みで頭はいっぱいになります。そうなると心がどこか別のところにいくようになるのです。
そうならないように、毎日、毎朝、自分の初心を確認してその覚悟の日々を生きていくということが本来の正念場ということでしょう。
正念場をどう日々に迎えるか、そして正念場をどう実践して魂を磨くかがその人の一生を決めていきます。
中村天風にこういう言葉があります。
「一度だけの人生だ。だから今この時だけを考えろ。過去は及ばず、未来は知れず。死んでからのことは宗教にまかせろ」
今に生きる、今を生き切るとき人は正念場ということでしょう。
中村天風の哲学は、人生は心一つの置きどころにあるといいます。如何に人間をつくるか、それは一心に生きることを説きます。まさに、正念場を生き続けて磨き人間を創ることに徹底するのです。
未熟な自分を憂うこともありますが、だからこそまず自己を磨き創ることに専念することだと感じるのです。最後に、中村天風の遺した言葉をいくつか紹介します。
「船に乗っても、もう波が出やしないか、嵐になりゃしないか、それとも、この船が沈没しやしないかと、船のことばかり考えていたら、船旅の愉快さは何もなかろうじゃないか。人生もまたしかりだよ。」
「土台を考えないでいて、家の構造ばかり考えたって、その家は住むに耐えられない家になっちまうでしょう。人生もまたしかりであります。」
「偉くなる人とそうならない人と、差が出てくるかっていうと、同じ話を聴いても、聴き方、受け取り方が全然違うからなんです。受け取ったことを自分の人生に、どう応用していくかということだけの差なんです。」
「自分が心配、怖れたりしている時、「いや、これは俺の心の本当の思い方、考え方じゃない」と気付きなさい。」
「自分自身を自分自身が磨かない限り、自分というものは本当にえらくならない。」
「笑っているとき、人間は最も強い。」
先人の生き方に倣い、今日も改心していきたいと思います。