日子山の甦生

郷里の英彦山の歴史を調べてみると、改めて古代からの不思議なつながりを感じます。この英彦山は三所権現といって伊弉冉命と伊弉諾命、そして天忍穂耳命がお祀りされています。

この天忍穂耳命は、天照大神の長子でありその息子が瓊瓊杵尊です。

この天忍穂耳命は神話の中では天照大神から天界から地上に降りて治めるように命令されましたが天の浮橋までいったら地上が騒がしく野蛮であることを知ったためそこから天界に引き返してきました。そのあとも天照大神に命令されるのですが拒否をし続け、代わりに建御雷を地上に送り平定してこれで安心だから行くようにと指示するのですがそれも拒み、代わりに息子を行かせますといって瓊瓊杵尊が天界から地上に降りていくという話が有名です。

この天忍穂耳命は、稲穂の神様でもあります。その名前も「多くの実をつけて頭を垂れる稲穂の神様」という意味だといいます。ままたは立派な稲穂を多くつけることができる神様でもあります。なのでこの神様は、生産の神様であり、農業の神様でもありました。他にも工業と鉱山の神様でもあります。

同時に、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命という本名があります。これは天安河にて須佐男之神と行った誓約(うけい)で生まれました。天照大神が誓約の際に、「正しく吾勝てり」と言われたことからついた名です。この「勝」の字が3つもつくので勝運上昇の神様にもなりました。その後は、古代より修験道の神様として英彦山に祀られて今があります。

この英彦山は、日子の山が変化したものです。日子とは天照の長子という意味にもなります。神話の時代から、この場所で何が行われてきたのか。歴史は、つながれて伝承されることで本物になります。

想いをつなぎ、道を結び、歴史を掘り起こすことは徳の醸成にもなります。子孫たちに先人がどのような道を歩んできたのか、そしてその道は今にどうつながっているのかを知れば、その経過を通してこの風土に眠る意志を感じたり、初心を思い出すことになります。

代々、継承していく想いが甦ることで常若といって今は甦生し続けて力を輝かせ続けることができます。この代々が甦生し、いつまでも発展と繁栄を続けるためにもまずはこの原初からの魂や願い、祈りを甦生させていきたいと思います。