保育にかかわっていると、子どもから学ぶことがたくさんあります。一般的には大人が子どもに教えるようなことを教育や保育と定義していますが私が一緒に取り組んでいる見守る保育は子どもから学び子どもの発達に沿って環境を用意していくという子どもの主体性を重んじています。
そうすると自然に子どもの発達からの気づきを私たちがどのように解釈をして理解していくかと繰り返していると子どもの持っている人間力のすごさ、また社会形成の知恵を実感するのです。そこから人類は生まれた時から、その環境に適応する仕組みを持っていることを直観しました。
例えば、幼児期の環境というものはその後の人生にとても大きな影響を与えるといいます。生まれてすぐの赤ちゃんは、脳のシナプスも最大でそこから心理学用語で「刈り込み」といって自分の人生に必要なものだけを残し、そうではないものを削り取っていくといいます。つまりは最初に完全体で生まれ、そこから能力を選別して個性を決めて伸ばしていくというのです。私たちは、それぞれで個性が異なりますがそれは幼児期の環境によって決まるといっても過言ではないのです。古語に「三つ子の魂百まで」といわれる中にはその意味も存在すると私は思います。
そこでどのような環境であったかに、「伝統文化」が重要になってきます。伝統文化とは、どのようにその民族がその風土で暮らしてきたかということです。これが環境というものです。
環境を通して子どもたちは学びます。そして子どもは大人と大人、大人と子ども、そして子ども同士の関わりによって人類の知恵ともいえる社会を学びます。社会はこの日々の環境、つまり暮らしを通して学んでいくということです。
人類の保育が伝統的な暮らしであると私が言うのは、人類が長い時間をかけて風土から得た智慧を譲り遺していくものを暮らしという伝承の仕組みにしているからです。幼少期の保育時期が非常に大切なのは、この「智慧の伝承」に深く関係しているからです。
文字がなかった時代、私たちは大切なことをどのように子孫たちへつないで伝承してきたか。それが暮らしであったのは、明白です。この暮らしは、智慧の宝庫でありその民族の人類の中での大いなる役割です。
子どもたちがそれを担っていくことで、人類は保育によって生き延びてきました。まさに人類がここまで生き残り維持できたのは、幼児期の保育が優れていたからということです。
私の取り組む暮らしフルネス™は、この風土の智慧を活かした伝統的な暮らしの仕組みで伝承していきます。子どもたちに先人たちの培ってきた様々な経験からの智慧が無駄にならないように信念をもって子ども第一義に取り組んでいきたいと思います。