竹垣と暮らし

今度、藁ぶき古民家のブロック塀の装飾に竹垣を創る予定があります。これは「この場所をきれいに美しく整えたい」という地主さんの想いにとても共感し、私もどうしたらいいかと考えている中でアイデアが出てきたものです。

「竹垣」というのは日本人には馴染みが深いものです。特に京都にいけば、町をあるくといろいろな竹垣に出会います。寺院にも多いですし、また庭との境界線にも竹垣があるのを見かけます。

海外には、家の境界には石組みをして頑丈で堅固なものを用いられることが多いですが日本では敢えて竹を用いることで風情を醸し出しているように思います。

この竹垣は、改めて説明すれば竹で編んだ垣根のことで日本庭園に使用される主な竹垣は建仁寺垣、高麗垣、沼津垣、鉄砲袖垣、襖垣、鶯垣、四つ目垣、大徳寺垣、立会垣などが有名です。

独自に開発したものを創作垣といいますが、今回はどちらかといえば建仁寺垣風の創作垣になるような予感がしています。

この垣根の歴史奈良、天平のころからあるといわれます。貴族や大名の家の周辺はウツギの生垣や葦垣などで囲まれていたと文献にあるようです。

単なる境界線をわける目隠しとしてではなく、強くて柔らかいといった竹の長所を見事に活かしています。涼し気であり、見た目も美しく、そして竹を用いることで資源の有効活用と里山の手入れにもつながります。

むかしの人たちがつないできた、日本の先人の知恵はまさにこれからの世界をどう生きていけばいいかの羅針盤になるように思います。

一つ一つのご縁を大切にしながら、暮らしを紡いでいきたいと思います。